給排水系統や空気系統では負荷変動を抑えるためにバッファータンクが良く用いられます。
この記事では排水系統などで良く利用されるバッファータンクについて解説します。
バッファータンクとは
バッファータンクとは気体や液体を一時的に貯留させるためのタンクです。レシーバータンクとも呼ばれ、給排水系統や空気系統などに設置されます。
バッファータンクを設けることで、設備のイニシャルコスト低減や工場の安定性を向上させることが出来、大きければ大きいほど変動許容率が上がります。
バッファータンクの役割
バッファータンクの役割は主に次の2つです。
流量変動を抑える
1つ目は、流量の変動を抑えることです。例として次のような設備を設計する場合を考えます。瞬時的に10m3/hの排水が発生する機器が3台並んでおり、それぞれが同時に稼働する場合があるとします。
この時、機器を出て合流した後の排水配管の設計は瞬時流量を合計した30m3/hで設計する必要があります。仮に排水量を平均した値が15m3/hだとしても、設計上は30m3/hとなり、実態と比べて配管口径が大きくなります。
移送先までの距離が長い場合は、その分配管コストが上がる要因となります。
そこで、次のようにバッファータンクを設けます。この場合、瞬時流量の重なり分をバッファータンクで吸収させることでポンプ二次側の流量を平均化できるので、配管の設計流量を15m3/hに抑えることが出来ます。
バッファータンクの容量は機器の運転頻度や瞬時流量の継続時間などを考慮し、オーバーフローが発生しない程度の大きさを計算します。
圧力変動を抑える
2つ目は圧力変動を抑えることで、主に空気系統にバッファータンクを用いる場合です。
次のようにコンプレッサーで圧縮した空気を空気式制御弁などの計装用空気として利用する場合を考えます。計装空気の圧力が変動すると、制御弁の動作が不安定になり流体の制御を行うことが出来ません。
そのため、コンプレッサーの二次側に空気のバッファータンクを設け、複数の機器が同時に作動しても圧力が変動しないようにします。また、制御弁が大口径の場合は、一次側にバッファータンクを設けることでバッファータンクまでの空気配管を小さくでき、配管コストを低減することが出来ます。
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まとめ
- バッファータンクは流体を一時的に貯留させるためのタンク。
- 流量変動や圧力変動を抑える役割がある。
- バッファータンクを設けることで設備コストの低減や安全性向上につながる。
バッファータンクは非常に多くの工場やプラントで利用されていますが、どこに設置すべきかは上記の2点の観点から検討してみてはいかがでしょうか。
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