今回は流量計の中でも、静電容量式というタイプの仕組みと用途について解説します。
静電容量式流量計とは?
静電容量式流量計を検索してみると「電磁流量計」のサイトがよく出てきました。
実は静電容量式流量計は、電磁流量計の1種です。何が違うのかというと静電容量式は、計測部の電極が配管の外にあるため液体と電極が直接触れない非接触型という点です。詳しくご説明します。
まず、静電容量とは何を指す言葉なのでしょうか。これは電気容量とも言われるそうですが、どれくらい電荷(静電気の量)を蓄えられるかを表しています。
導電体と導電体の間には、この静電容量が発生します。2つの間に流れる物質が変わったり、量が変わったりすると流れる電荷に変化が生じます。
静電容量式流量計は、流量計の流路部に導電性のある素材(誘導体を混ぜたセラミックなど)を用いて、流体が流れる時に発生した電荷を、流路の外側に設置された電極で捉えます。
通常の電磁流量計と電気的に異なる点は、磁界中に配管内を流れる流体からの電荷を測定しているのではなく、発生した電荷を流量計の流路部の素材を介して検出するという点です。
セラミックなどの素材と容量結合することで、入力インピーダンス(交流回路における電気の流れにくさ)を高めることができます。入力インピーダンスを上げると、電位計測の精度が上がるとされます。
電磁流量計については、以前の記事でも解説していますので、ご参照ください。
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【流量計】超音波式と電磁式の違いって何?
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静電容量式流量計のメリットは?
他の型式と比べたメリットは電磁流量計と同じになるので、通常の電磁流量計との比較をしたいと思います。
- 非接触タイプなので、金属製の電極が流体による腐食や摩耗の影響を受けない。異物の影響を受けにくい。
- 測定精度が高いため、低導電率の流体にも使用が可能。純水やアルコールなど従来の電磁流量計では測れなかった流体も測定が可能。
上記のような特徴のため、飲料用のイオン交換水や液糖など粘度が高い物向けに使用されているようです。
電磁流量計と構造は似ているので、圧力損失がほとんどない、高粘度・高密度の流体も測定できるなどのメリットが挙げられます。
静電容量式流量計のデメリットは?
デメリットというよりは、注意点を以下に挙げました。
- 導電率が低い流体は流れる際に発生するノイズが大きく、ノイズ対策が必要(周波数を上げることで影響を小さくできる)
- 超純水や油など、導電率が極小のものは測れない。
静電容量を測定するという原理のため、導電率が決めてとなるようです。
まとめ
- 静電容量式流量計は電磁流量計の一つである。
- 非接触式で、低導電率の流体でも計測可能。
- 導電率が極小のものは測れない。
流量計については他の記事でも解説しているので、合わせてこちらもどうぞ。
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