石炭とコークス、イメージはどちらも同じように思いますがいったい何が違うのでしょうか?
今回は石炭とコークスの違いについて書いてみたいと思います。
※ こちらの記事は動画でも解説しています。
石炭とコークスの違い
石炭とコークスの違いは、自然から掘り出された原料が石炭、それを加工してより発熱量を増加させたものがコークスです。燃料のほかに製鉄業での鉄鉱石の還元剤などに利用されます。
コークスは灰分を含んだ多孔質の炭素質で,骸炭ともいいます。
掘り出されてすぐの石炭は、サイズ、水分量、発熱量などがバラバラなため燃料としては優秀ではありません。そこで粉砕、乾留などを経て燃料に適する製品として加工されたものがコークスということになります。
コークスは主に次のように作られます。
- 石炭を粉砕しサイズをそろえる。
- 石炭を約1000℃~1300℃程度の高温で加熱し、乾留(乾かす)する。
- 硫黄やアンモニアなどの揮発成分が抜ける。
- 単位質量あたりの発熱量が増加す。
これにより石炭よりも発熱量の大きい燃料が出来上がり価値が高まります。また、鉄鉱石の還元材として利用する際も、石炭から硫黄が抜けていることで最終製品の鉄を浸食することなく酸素を取り去ることができます。
石炭を乾留する際に発生するコークス炉ガスはCOGと呼ばれ発電用の燃料などに利用されています。以前は都市ガスの原料としても利用されていたようですが、有害ガスのため現在は利用されていません。
ちなみに石炭の比重は1.2~1.5g/m3で発熱量は20~30MJ/kg、コークスの比重は1.8~2.0g/cm3で発熱量は27~31MJ/kgです。コークスのほうが比重が大きく発熱量も大きくなっていることが分かりますね。
こちらがコークスを燃やしている動画です。
まとめ
- 石炭を乾留させたものがコークス
- コークスは燃料や還元剤として利用される
- 副生ガスはCOGと呼ばれ燃料として利用される
石炭とコークスの違いは石炭が原料でコークスが加工品になります。間違えないように注意しましょう。
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