温度の計測機器について、今回は水晶温度計をとりあげます。
水晶と聞くと宝石の一種というイメージですが一体どのような仕組みで温度を測定するのでしょうか?
水晶温度計の原理やメリット、デメリットについて解説したいと思います。
水晶温度計とは
水晶温度計とは、水晶振動子や水晶発振子と呼ばれる部品を使用した温度計です。クオーツ温度計とも呼ばれます。
測温センサの組み込まれたプローブと、周波数を測定し温度に変換する計測器によって構成されます。
水晶温度計の原理
原理を説明するために、段階を追って解説をしていきます。
まず、水晶とは石英(英語でquartz)とも呼ばれる、二酸化ケイ素の結晶化したものです。水晶は圧力を加えると、その圧力に比例した電気が発生する性質(圧電効果)を持っていることが知られています。
身近な例ではライターやガスコンロの着火石は、同様の原理で電気を生み出し、着火するのに利用されています。
発生する電気の振動(周波数)は、水晶の切り出し方に依存しています。
水晶振動子は、薄い水晶片を2枚の金属板(電極)で挟み込むことで、常に一定の周波数を生み出すための素子です。一定周期の振動を生み出し続けるため、腕時計やコンピュータの時間を測る基準として用いられています。
水晶振動子の周波数は、温度に依存することがわかっています。この周波数から温度を逆算する原理の温度計を水晶温度計と呼びます。温度と周波数の関係が、線形で比較的安定していることから、-50 ~ 200℃ほどの温度範囲で用いることができます。
余談ですが、腕時計が好きな人は、クオーツ式という言葉を聞いたことがあると思います。水晶振動子を用いて、正確な時間を刻むタイプで、消費電力が低く、軽くて安定的なためほとんどの腕時計に採用されます。
一方、古い腕時計の原理として、趣味性が高いのがゼンマイで動く機械式です。
水晶温度計のメリット・デメリットは?
水晶温度計のメリットは、分解能が高いという点です。高精度なものでは、0.0001℃まで測定することができます。また抵抗温度計と異なり、磁場の影響を受けないことも特徴です。
一方、デメリットは、振動を測定する原理のため、外部からの振動や衝撃に弱いことが挙げられます。また測定可能な温度範囲は、熱電対や抵抗温度計と比べるとやや狭く、温度上限は200℃程度のため、高温での用途は限られます。
まとめ
- 水晶温度計は、水晶振動子の圧電効果を利用した温度計。
- 温度の分解能が非常に高いことが特徴。
- 外部からの振動や衝撃に弱く200℃を超える高温では使用できない。
水晶温度計はより細かな温度制御が必要な現場で用いられる温度計といえます。
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