電気を利用する際にいろいろな機器を利用することがありますが、CT変換器と言うものがあります。
このCT変換器とはどのようなものか分からない人もいるかもしれません。
この記事では、CT変換器が分からないという方に向けて、CT変換器とは何か?原理や選定について書いていきたいと思います。
1. CT変換器とは?
CT変換器とは交流電流変換器とも言われており、大きな電流を小さな電流に変換して電流値を計測するための機器です。
これにはAC1A、またはAC5Aの入力のものが準備されています。一般的な電源ラインでは、数十アンペアや数百アンペアが流れています。そんな場合の大電流をそのまま計測すると電線も太くなり、自己があった場合大変危険です。
そのため、CT変換器を用いて小さな電流値に変換し、その値を計測することで実際に流れている電流値を測定することが出来ます。
電流値を測定することで、建物に流れる待機電力やポンプなどの電動機の運転状況を監視することができます。ポンプの電流値を監視することで何が分かるかというのは「【電気機器】ポンプの電流値は何で決まる?高い時と低い時の違いは?」を見てください。
電流を計算するときはCT変換器を使用し、電圧の場合はVTと言われる計器用変成器を使用することになります。
2. CT変換器の原理
CT変換器の原理では、まず変成器のエネルギー伝達を使用しています。通常ではCTの二次側は低インピーダンスで使用しています。
一次側に交流電流を流すと鉄心中に変化する磁束が発生して、この磁束の変化に対応して二次側に交流電流が生まれます。この時、一次側、二次側の電流と巻数には次のような関係が成り立ちます。
$$N1×i1=N2×i2$$
$$i2=\frac{N1}{N2}i1$$
i1:一次側の電流
i2:二次側の電流
N1:一次側の巻き数
N2:二次側の巻き数
この式では一次側の電流を巻数比で割った値が二次側に流れる電流になります。
CT変換器はこの原理を利用して、一次側の大きい電流を二次側で計測しやすい小さい電流に変換しています。
CTの場合は二次側を開放の状態で一次側電流を流すと、二次側電流を流そうとして開放端に高電圧が発生して絶縁破壊、焼損事故につながる恐れがあるので、注意が必要です。
そのため、今ではプラグインタイプのCT変換器には、二次側開発防止のためのCTプロテクタを取り付けているため、変換器をソケットから外しても二次側開放にならず、事故を防ぐことができます。
CT変換器にはこのような原理となっています。
CT変換の原理については「計装豆知識 CT(Current Transformer)について(外部リンク)」も分かりやすいので参照していただければと思います。
原理が似ているものとして、変圧器があります。変圧器については詳しく解説している動画があったので載せておきます。
3. CT変換器を設置する目的は?
CT変換器を設置すれば次のようなことが出来るようになります。
- ピーク電流を検出することで機器のメンテナンスや故障診断ができる。
- モーターの場合はギアの破損やゴミ噛みによる異常を検知できる。
- 電流がしっかり流れているかを確認する。
このように、複数の機器の異常を検知して故障の原因特定や予知保全を行うことができます。
最近では最初から多数のCT変換器が組み込まれたFactory AutomationのMELSEC-Qシリーズ(外部リンク)なども販売されています。
CTセンサーとシーケンサの直結により、外部に信号変換器などの接続が不要で、装置や機器の負荷制御または稼働監視や電力系統の管理、監視など安定したデータ変換速度で高精度な計量を実現することができます。
4. CT変換器の選定方法
CT変換器ではメーターの負担とケーブルの負担が10VAを越してはならないと言う決まりがあります。
例えば、100/5AのCTを使って100Aを計測すると二次側には5Aが流れます。
メーター+電線の合計抵抗が2Ωあれば、ここに5Aを流さないとならないのでCTは2×5で10Vになります。
そうするとCTは10V×5Aになるので50VAのパワーが必要になります。
10VAのものでは使えないことになります。
そのため、CT変換器を選ぶ際には計算をしっかりして、負荷がかかり過ぎないようにすることが必要になります。
電気の公式をしっかり頭に入れて、先に二次側を計算しておくならば、問題なくCT変換器を選定することができるはずです。CT比を確認することで、トランスデューサーが変換する電力値を計算することができます。
電気機器は選定を間違えると発火などの自己につながるので、仕様を確定してメーカーに相談して決めてください。
5. まとめ
- CT変換器は大電流を小電流に変換するために設置する
- 電流を監視することで機器の異常を検知できる
- 複数の機器をCT変換器混みで監視できるPLCが販売されている
工場やビルなどの分散設置として利用されているCT変換器を利用したい場合は、CT比なども考慮してCT変換器を選定する必要があります。
CT変換器の選定を誤ってしまうと負荷がかかり過ぎて故障してしまうこともあります。
ぜひ、参考にしてください。