大型の生産ラインなどを見ていると、制御弁が並列に数台設置されているのを見たことがないでしょうか?
制御弁は流量を自動で制御してくれるので、大きいものを1台つけておけば問題なさそうですが、あえて並列設置をしているのには理由があります。
今回は制御弁を並列設置する理由について解説します。こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらもどうぞ。
制御弁を並列設置する目的
制御弁を並列に設置するのは次のような理由からです。
- 制御性を上げる
- 立ち上げ速度を緩やかにする
制御弁を並列に設置する場合は大小サイズを分けて設置するのが一般的ですが、この1番の目的は制御性を上げるためです。制御弁は大は小を兼ねるというわけではなく、流量調整範囲というものがあります。
例えば、制御量に対して大きな制御弁を選定してしまうと、開度が0~10%程度で制御を行うことになり、少し開くだけで多くの量が流れるため流量調整が難しくなります。
よって季節や生産量などの状況によって必要流量の変動が大きい場合、最大流量をもとに選定をすると流量が減少した時に上手く調整が出来ないことになります。これを防止するために、小さい制御弁を並列に設置します。
制御方法としては片側がまず開き、それでも足りなければもう一方が開くというスプリット制御が用いられるのが一般的です。
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また、もう一つの目的に立ち上げ速度を緩やかにするというものもあります。工場設備の場合、立ち上げ時に一気にユーティリティが流れ込むと、設備の故障につながる場合があります。そこで立ち上げ時には徐々にバルブを開くなどの操作が必要ですが、これを自動で行うために小さな制御弁を設けている場合もあります。
この場合は普段は使用しないので、常用運転中は入口弁を閉めておくなどの運用がされていることが一般的です。
このような使い方をする場合、立ち上げ時間によって選定する制御弁のサイズが変わり、小さければ小さいほど立ち上げ時間が長くなるということになります。
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まとめ
制御弁の並列設置は一見無駄なように見えますが、実は結構重要な意味があります。
是非、設備を設計する際には参考にしていただければと思います。