蒸気の流れを制御するときに、代表的なもので圧力制御と流量制御があります。どちらも制御形式が似ているので良く混同されてしまいます。
圧力制御と流量制御は何が違うのでしょうか?今回は、圧力制御と流量、制御の違いやその使い分けについて書いてみたいと思います。
こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらもどうぞ。
1. 圧力制御と流量制御の違い
圧力制御と流量制御は言葉の通り、制御弁二次側の圧力を一定にする制御か制御弁を流れる流量を一定にする制御かの違いです。
大半は圧力制御が利用されますが、特殊な場合に限り流量制御が利用されます。それぞれについて詳しく見てみましょう。
1-1. 圧力制御
まずは、圧力制御から見てみましょう。圧力制御とは制御弁を利用して2次側圧力を一定に保つことです。蒸気は圧力を一定に保つと温度が一定になります。
なので、圧力制御を行うと、常に同じ温度で加熱することが出来ます。加熱する熱量が多くなると蒸気が凝縮して制御弁二次側の圧力が低下していくため制御弁が開き、圧力を一定に保ちます。逆に熱量が少なくなると、蒸気がほとんど凝縮しないので制御弁は閉じていきます。
このような制御を圧力制御といいます。
1-2. 流量制御
一方、流量制御は流量計と組み合わせ一定流量が流れるように制御弁が開閉を行います。圧力は多少変動しますが、流量が一定に保たれるため、一定の熱量を与え続けることが出来ます。
つまり、利用先で蒸気が使用されようがされまいが、一定の流量を流すように制御します。設定した流量に対して使用量が多ければ圧力が低下していき、使用量が少なければ圧力が上昇していきます。
圧力が変動しても、等エンタルピー変化なので制御弁を流れる熱量は一定になります。
このような制御を流量制御といいます。
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【自動制御】流量制御って何?流量を一定にする仕組みは?
2. 圧力制御と流量制御の使い分け
圧力制御と流量制御の使い分けは、一定の温度で加熱したい場合は圧力制御、一定の熱量で加熱をし続けたい場合は流量制御を用います。圧力制御は一般的な加熱用途で利用され、流量制御は液体から常に一定の量を蒸発させたい蒸留などの用途で利用されます。
また、外乱の影響を抑えるために圧力制御と流量制御を組み合わせた制御を行うこともあります。これをカスケード制御といいます。
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【自動制御】カスケード制御。外乱の影響を受けにくい理由とは
3. まとめ
- 圧力制御 ⇒ 温度を一定に保つ
- 流量制御 ⇒ 熱量を一定に保つ
以上です。圧力制御と流量制御は考え方が似ているので混同しないように気を付けましょう。
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