ポンプなどの回転機に圧力計を設置する場合は、圧力計の故障を防止するためにグリセリン封入型を利用する場合があります。この記事では圧力計にグリセリンを封入する理由について書いてみたいと思います。
1. 圧力計にグリセリンを入れる理由
圧力計にグリセリンを入れる理由は、振動により圧力計が故障するのを防止するためです。通常の圧力計をポンプやコンプレッサーに設置して、圧力を示す針が細かく振動しているのを見たことがないでしょうか?
圧力計の針が振動していると、次の2つの懸念が出てきます。
- 圧力の値が読みにくい
- 圧力計が正しい値を示さなくなる(故障する)
そこでこれらの懸念をなくすために、グリセリンを封入させます。グリセリンは保湿用の化粧品にも利用されるアルコールの一種で粘性を持ちます。この粘性によって、圧力計の針の振動を吸収し故障を防ぎます。また、針の動きが緩やかになるので指示値も読みやすくなります。
グリセリンは凝固点もマイナス数十度と低いので、水と違って寒冷地でも凍る心配がありません。度数の高いお酒を冷凍庫に入れても同じですね。粘性があり、凍らないという特性から封入される液体にグリセリンが用いられています。
こちらの動画でも詳しく解説してあります。
2. グリセリン封入型圧力計の懸念点
- 酸素には使用できない
- 出来るだけ振動の少ない個所に設置する
グリセリン封入型の圧力計も基本的な使用方法は同じですが、特有の注意点が2点あります。
まず、酸素の圧力を計測する箇所には使用できません。グリセリンはアルコールの一種で発火性があるため酸素と混合すると大変危険です。
また、グリセリンが封入型は振動に強い設計にはなっていますが、振動の幅が大きすぎると故障しやすくなります。設置する際には出来るだけ振動が伝わりにくい個所に設置する必要があります。
3. まとめ
- グリセリンは振動による故障を防止するために入れる。
- 粘性と凝固点の低さからグリセリンが利用される。
- 酸素の圧力測定は危険なので行えない。
以上、グリセリンを圧力計に封入する理由でした。