工場やプラントで最も良く利用されている制御の一つに液面の高さを一定に保つレベル制御があります。
この記事ではレベル制御とは何か、またレベル制御の方式や特徴について解説しています。
レベル制御とは
レベル制御とは液体の供給量、又は吐出量を調整することによってタンクなどのレベル(液位)を制御することを言います。
タンク内のレベルを一定にすることで供給元や送り先の負荷変動を吸収することができ、プラントを安定稼働させることが出来ます。また、常に一定の条件でポンプなどを運転することができ、キャビテーションの防止にもつながります。
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レベル制御の方式
レベル制御を行う方式には主に次の3つがあります。
比例制御
比例制御はコストは高くなりますが、最も安定した制御で常にレベルを一定に保つことが出来ます。
制御弁による比例制御を行う場合は次のような流れでレベルを一定に保ちます。
- レベルセンサーによりレベル(液位)を検知する。
- 調節計(又はDCS)により設定値との偏差を計算する。
- 制御弁にアナログ信号(4-20mAが主)を送る。
- 1に戻る。
これらを図に表すと次のようになります。
供給元の条件が変動する場合は吐出側の送り量を制御することでレベルを一定に保ちます。上の図のようにポンプ吐出側に制御弁を設ける場合は、レベルが上がると制御弁が開度を大きくし、レベルが下がると開度を小さくすることで送り量を調整します。
このような制御を行う場合、送り量が0の時にポンプが締め切り運転となるため、ポンプ吐出側からタンクへ液体を循環させるためのミニマムフローラインが必要です。また、大型のポンプになるとポンプのインバータ制御による省エネを行う場合もあります。
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一方、送り先の負荷が一定ではない場合は、次の図のように供給元の補給量制御を行います。
このような制御を行う場合は供給元となる液体がタンク内に流入できる程度の圧力が必要です。
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二位置制御
二位置制御はレベルを検知するレベルスイッチを設置し、レベルスイッチ間のレベルになるように制御を行う方法です。
二位置制御は次のような流れでレベルを一定に保ちます。
- レベルスイッチ(高)がレベルを検知する。
- 調節計(又はDCS)によりポンプへ運転信号を送る。
- ポンプが運転する。
- レベルスイッチ(低)のレベル検知が切れる。
- ポンプを停止する。
これらを図に表すと次のようになります。今回はポンプのオンオフによる制御例ですが、ポンプは連続運転でオンオフ弁を用いて二位置制御を行う場合もあります。
二位置制御の場合、レベルスイッチの範囲でレベルが変動するので比例制御と比べると制御性は下がりますが、レベルセンサーと比べるとレベルスイッチは安価であり、制御弁も不要となるためコストを抑えることが出来ます。
但し、ポンプや弁などがオンオフ動作を繰り返すため、比例制御と比べると機器の寿命が短くなる可能性があるため、発停回数等がどの程度になるのかを事前に把握しておく必要があります。
二位置制御の場合も比例制御と同様に送り先側の負荷が変動する場合は供給側にオンオフ弁などを設け、レベルがレベルスイッチで設定した値の範囲内に収まるように制御を行います。
供給元と送り先のどちらを制御するのかは、タンクを設置する環境を考慮して決定しましょう。
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ボールタップによる制御
最も簡易な方法としてボールタップによる制御があります。コストも安く設置も容易なので、特殊な制御の必要がない受水槽などに用いられます。
ボールタップは設置高さを決めると、その高さを基準に液量が常に満水になるように供給水量を比例的に調整してくれます。
ただ、設定レベルの変更等を行う場合は設置をやり直す必要があるため注意が必要です。
まとめ
- レベル制御はタンク等のレベルを一定にする制御。
- レベルを一定にすることで負荷変動を吸収でき、ポンプ保護などにもつながる。
- レベル制御の方式には比例制御、二位置制御、ボールタップなどの方式がある。
この記事で紹介した方法以外にも流量による制御など、様々なやり方があるのでどのような制御を行うのが最もいいのか、条件を考慮しながら検討してみてはいかがでしょうか。