制御盤を開けると中に入っている「リニアライザ」。他の配線スペースを広く取るために多くの場合、縦長の物が多いかと思います。
これがどんな役割を果たしているかご存知ですか？あまり基礎的な部分に触れたサイトがなかったので、リニアライザについてまとめてみました。
こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらもどうぞ。
リニアライザとは
リニアとは直線という意味の言葉です。（リニアモーターカーは、モーターを帯状に並べ、回転運動を直線運動に変えるという意味でリニアと使われています）リニアライザは直線ではないものを直線に変換するためのものを言います。
これだけでは分かりにくいので例を出して説明します。
熱電対をはじめとする温度センシングの技術は、何かしらの物理量（起電力や放射エネルギーなど）を、何℃という数値に変換しています。
物理量と温度に対応関係があり、温度測定に使えそう、でも比例関係ではなさそうということが実験によってわかりました（「熱電対 起電力」などで検索するとグラフが出てきます）。
比例関係、つまりy = ax +b の形で変換することができれば簡単に数値変換できそうです。しかし実際には、途中で傾きが変わったり、指数関数的に上昇したりと、用いるセンサーの原理によってまちまちです。
そこで複雑な（非直線的な）グラフを、いくつかの区間に区切って、直線（一次関数）で表そうとするのがリニアライザです。
メーカーによって異なりますが、例えば1つの温度分布に対して７個の直線を引き、近似させるなどが行われています。x が0 ~ 50まではy = ax+b、xが50 ~ 100まではy = cx + dというように、一次関数の式で指定された範囲のグラフを近似します。
温度センサーの場合は、専用のリニアライザに指定された配線をすればきちんと補正されますのでご安心ください（特に設定はいりません）。
計算はリニアライザ内に内蔵されたマイコンによって行われます。
リニアライザの使用例
包括的に、リニアライザが何に用いられているか調べるのは難しいです。
物理量である電圧信号・電流信号が、目的の値を比例的に示してくれない場合に使われます。上に挙げたように温度センサに使われるほか、いくつかの測定原理の流量計にも用いられます。
一方で、現場でよく見る電子式の圧力センサーは、測定電圧と圧力がリニアの関係のため、リニアライザは必要ありません。
まとめ
- リニアライザは複雑な式を簡易化するために用いられる
- 簡易化すると、知りたい数値を近似して求められる
今回はリニアライザの目的についてまとめてみました。実際に使用する際は、メーカーの仕様書と取扱説明書をよく読んで、設計・配線してください。
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