ポンプ

【ポンプ】回転方向が逆になる理由は?なぜ配線を変えると直るの?

新しいポンプなどの回転機器を導入した時に、回転方向をきちんと確認するかと思います。

これが逆だといろんな問題が起こるのですが、ここでは置いておきます。配線を入れ替えると正しい方向に直ることが多いと思いますが、これはなぜなんでしょうか。

今回は、配線を変えるとポンプの回転方向が逆になる理由について解説したいと思います。

ポンプが逆回転になる理由

基礎の基礎ですが、ポンプというのは流体を送り出す装置であり、外殻と内部のスクリュー(インペラーとか呼ばれます)などの部品から成り立ちます。

内部を回転させる力は、外付け(もしくは一体型)のモーターから加えられます。モーターが反対回りになる=ポンプが逆回転になる、という現象が起こります。

モーターが回る原理

どうやってモーターが回るのか、原理を確認しておきましょう。中学生くらいの教科書には、S極とN極の磁石に挟まれたコイルに電気を流すと回転する現象が書かれています。

これは原理としては直流モーターと呼ばれます。ちなみに直流電気の流れる向きを変えることで、逆回転します。

一方で現場で使われることが多いのは三相誘導電動機です。

電気の有資格者には不要な説明かと思いますが、まずは簡単に三相の説明をします。家庭で使われるような電気は交流で送られてきています。電圧がプラス/マイナスを周期的に変化します。

それに対して三相交流というのは、3つの交流電気が等間隔(120°ずつ)ずれて送られてくる状態を指します。

発電所で作られる電気は三相交流で送られてきます。また大きな動力を必要とする場所、生産現場の多くでは回転機には三相交流が用いられています。

三相誘導電動機は、3つのコイルが中にあり、三相(一般にU相、V相、W相と呼ばれます)の電線がそれぞれ配線されます。3つのコイルはモーターの筒に対して、120°ずつ等間隔に配置されています。

筒の中央部にある鉄心が回転体であり、モーターの軸です。モーターに電気が流れると、鉄心にコイルから磁力による力が働き回転を始めますが、三相それぞれ異なる周期で電気が流れるため、回転が止まらず連続的に回り続けます。

詳しい動画がありましたので、参考にご覧ください。

ポンプの逆回転はなぜ起こるか

3つあるコイルのうち1つに電気が流れ、電圧が上がった時にN極が発生した時を考えます。

そして残り2つのコイルのうち、次に電圧が上がる周期のコイル方向に鉄心が回転しようとする力が働きます。

回転方向を変えようと思った時には、残り2つのコイルに流れる電気の順番を変えればよいと言えます。

回転が正しい方向と逆だった場合には、三相誘導電動機には3つの電線が配線されていますので、どれか2つを入れ替えてやれば、期待する回転方向になるというわけです。

まとめ

  • 現場で見るモーターは三相誘導電動機が多い
  • ポンプが逆回転した時は2つの配線を入れ替えるとよい

制御盤内の配線にはマーキング用に端子番号や記号が書かれていると思いますので、配線を変更した場合には、元の配線の番号変更や記録を忘れないようにしてください。

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エコおじい

プラントエンジニアです。「工業技術をどこよりも分かりやすく解説する」をテーマに2017年からブログ、Youtubeで情報発信をしています。現在、5つのブログを運営中。毎月収益レポートを公開しています。是非、Twitterのフォローお願いします。



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