生産現場の加熱源について勉強している方は、過熱蒸気という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
過熱蒸気は過熱器、スーパーヒーターと呼ばれる機器を用いて作られるのですが、今回は過熱蒸気をつくる機器についての基礎を説明します。
こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらもどうぞ。
過熱器とは
物づくりの現場で使われる蒸気は、飽和温度であることが多いです。これをさらに加熱して高温にしたものが過熱蒸気で、それを作り出すための機器を一般に過熱蒸気発生装置、もしくは過熱器と呼びます。
過熱蒸気については以前まとめた記事があるのでこちらもご覧ください。
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【蒸気】めちゃくちゃ単純!過熱蒸気の過熱度とは?
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動画もあるのでご覧ください。
蒸気についてご存知の方は「ボイラーでは圧力を制御して蒸気を作り出しているのに、どうやって過熱蒸気をつくるの?熱をたくさん加えたら高圧になってしまうのでは?」と思うかもしれません。
過熱器は貫流ボイラーなどと同様に、内部に蒸気が通る細い管がたくさんあり、それを管の外側から加熱します。つまり熱交換器の一種です。この操作により蒸気の圧力を維持しながら、温度だけを飽和温度以上に上げていきます。
発電所などの大型ボイラーでは、過熱器はボイラー本体の中(燃焼ガスの通り道)に組み込まれています。一方、工場で加熱・乾燥に使う小型の過熱蒸気発生装置は、ボイラーとは別に設置されます。サイズは容量によって小型のものから大型のものまで様々です。
ボイラーの過熱器(スーパーヒーター)の位置と過熱度
発電用などの水管ボイラーでは、蒸気ドラムや蒸発管でつくった飽和蒸気を、燃焼ガスの通り道に並べた過熱器の管に通して、さらに加熱します。過熱器は置き場所によって、火炉の上部で炎の放射熱を受ける放射形と、その先の煙道で燃焼ガスの熱を受ける対流形に分けられます。
過熱蒸気の温度が、その圧力の飽和温度より何℃高いかを過熱度といいます。例えば、絶対圧1.0MPaの飽和温度は約179.9℃なので、同じ圧力で250℃の過熱蒸気なら過熱度は約70℃です。
蒸気温度が上がりすぎると過熱器の管やタービンを傷めるため、大型のボイラーでは過熱器を2段以上に分け、その間に過熱低減器(水をスプレーして蒸気温度を下げる装置)を置いて、出口の蒸気温度を一定に保つのが一般的です。
発電用ボイラーの中の蒸気の流れ(一例)
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冷凍・空調の分野でいう「スーパーヒート(過熱度)」も同じ考え方で、蒸発器を出た冷媒ガスの温度が、その圧力の飽和温度より何℃高いかを表します。
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過熱器の熱源
蒸気の飽和温度よりもさらに高い温度を生み出す必要があります。過熱蒸気の消費量が多い場合は、燃料ガスの加熱により熱源を得るのが一般的です。
一方で消費量が少ない場所や、燃料を確保するのが難しい場所においては、電気による加熱で過熱蒸気をつくります。この場合はコンパクトで設置が容易な過熱器が多いです。
過熱器で過熱蒸気をつくる理由
蒸気を作った後に再度加熱するという手間をなぜ行うのでしょうか。過熱蒸気にはメリットがあります。
飽和蒸気より高いエネルギーを持つ
主に発電用タービンを回すことを考えてもらいたいのですが、蒸気の熱エネルギーがタービンの回転(動力)になり、発電機で電気に変わります。より高い温度の蒸気をタービンにぶつけることにより、多くの電気を生み出すことができます。
水滴が含まれない
飽和温度の蒸気はどうしても凝縮した微細な水滴が含まれます。小さな水滴でも高速で移動することになるので、金属部品表面をだんだんと削り取ってしまいます。
過熱蒸気の場合は、水滴が発生しにくいため機器にとっても安全です。また厳しい衛生度が求められる製品を乾燥させるのにも、水滴が付着しにくいため用いられています。
加熱や乾燥に優位点がある
低圧でも高い温度を作れるため、装置にかかる圧力を低くしたまま高温加熱が可能です。蒸気で空間が満たされるため、低酸素状態での加熱となり酸化を防ぎます。
また温度条件によっては、熱風よりも乾燥効率が高いことが知られており、素早い乾燥を行えます。
過熱蒸気の用途
上記のようなメリットがあるため、
- 火力発電所などの発電
- ガラス製品などの洗浄
- 食品などの加熱
- 金属部品や食品などの乾燥
といった用途に多く用いられています。
なお、熱交換器での一般的な加熱や、医療器具の滅菌(オートクレーブ)には、過熱蒸気ではなく飽和蒸気が使われます。過熱蒸気は飽和蒸気に比べて熱伝達率が低く、加熱に大きな伝熱面積が必要になるためです。
出典:TLV「蒸気の種類」https://www.tlv.com/TI/steam-info/steam-theory/steam-basics/types-of-steam / 過熱低減器による蒸気温度制御は特許 JP3948097B2「ボイラの過熱低減器」などの記載による
現場によっては蒸気ボイラーがなかったり、ユーティリティーが電気のみに制限されたりしているような場所もあるかと思いますが、小型の過熱器であれば電気と水のみで動きますので場所を選ばず使えるというメリットもあります。
まとめ
- 過熱蒸気は燃焼熱や電気熱によってつくられる
- 発電用途の大型のものから、洗浄用途などの小型のものまである
- 発電用ボイラーでは過熱器はボイラーの中に組み込まれ、過熱低減器で蒸気温度を調整する
過熱器について原理や用途についてまとまったサイトがなかったので、今回作成しました。かなり小型のものもあるようなので、ぜひ調べてみてください。
その他ボイラーに関する記事はこちらになります。




