機器を動かす制御盤の1つに「現場操作盤」があります。
この記事では現場操作盤と制御盤の違いやメリット、デメリットについて解説します。
現場操作盤とは
現場操作盤とは機器を操作するための簡易な盤のことを言います。制御盤の場合は、機器の一連の動きがPLCやリレー、調節計等によって制御を行いますが、現場操作盤の場合は「運転、停止」などのような簡易な動きをさせるのが一般的です。
DCSでの中央制御室からの命令と現場操作盤を用いた現場での操作命令の両方を受ける場合は次のような図になります。
現場操作盤には「現場、中央」のスイッチを設け、機器の運転についてどちらの命令を優先させるかを選択します。通常の場合は「中央」にしておき、トラブルや試運転時のみ「現場」にするイメージです。
スイッチが「現場」を指している場合は、中央からの命令信号は受け付けないようにインターロックを設け、安全に配慮します。
現場操作盤を設置するメリット
現場操作盤を設置するメリットは次のようになります。
- 現場で機器の動きを確認できる。
- 動作確認を一人で行える。
- トラブル時に現地復旧が出来る。
現場操作盤がない場合は、機器を単体で動かすためには中央制御室からの遠隔信号が必要となるため、現場と中央でトランシーバーなどでやり取りをしながら動作確認を行う必要があり、複数の人員が必要です。
一方、現場操作盤があれば現場の状況に応じて運転命令を出せるため、単独での運転確認が可能です。試運転時やトラブル発生時など、非定常な作動をさせたい場合は現場操作盤があると非常に便利です。
現場操作盤を設置するデメリット
現場操作盤を設置するデメリットは次のようになります。
- 機器、工事のコストが上がる。
- 誤動作につながる可能性がある。
- 設置スペースが必要。
現場操作盤自体は非常に簡易な作りのため、高額ではありませんが、設置しない場合と比べるとコスト増になります。
また、トラブル対応時にスイッチを「現場」にしたまま戻し忘れる等の誤動作があると、中央からの命令信号が入らずプラントが稼働出来ない可能性があります。
現場操作盤は機器としてあれば便利ですが、運用上、誤動作につながる可能性があがるのもデメリットの1つと言えます。
まとめ
- 現場制御盤とは現場で機器を動作させるための簡易な盤。
- トラブル時や試運転時にあれば非常に便利。
- コストの増加や誤動作などにつながる可能性がある。
現場操作盤にはメリットも多いですが、上記のようなデメリットもあるため、どの機器に現場操作盤を設けるか慎重に検討しましょう。
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