ポンプの性能曲線にはポンプ効率が示されています。今回はポンプ効率の考え方と計算方法について記載していきたいと思います。
1. ポンプ効率とは?
ポンプは水などの流体に圧力を加えて遠くまで輸送するために使用します。ポンプの効率とは、ポンプに供給した動力がどの程度水の圧力エネルギーに変換されたかという指標になります。
ポンプに供給したエネルギーが全て水の圧力エネルギーに変換されることが理想です。しかし、実際にはモーターでのエネルギー損失やポンプ内部での水とインペラとの摩擦損失などがあるためすべてを変換することはできません。
ポンプの動力は大半が電力ですが、大型の場合は蒸気などの流体を用いることもあります。この場合はタービンポンプなどと呼びます。
どの使用ポイントでポンプ効率が最も高くなるかはポンプによって固有の値で、性能曲線を見ればピークポイントが分かります。
【タービン】タービン効率の考え方、熱落差ってなに?
2. ポンプ効率の計算方法
ポンプ効率は次の式で計算することができます。
$$η=\frac{Pw}{Pa}$$
Pw:水動力[kW] Pa:軸動力[kW]
水動力はポンプ出口の全揚程、流量、密度によって決まり次の式で表すことができます。
$$Pw=\frac{ρgHQ}{1000}$$
ρ:水の密度[kg/m3] g:重力加速度:9.8[m/s2] H:全揚程[m] Q:吐出し量[m3/s]
ポンプの軸動力はモーターに記載してあります。
揚程は入口圧力と出口圧力を計測することで分かります。
約10mの水頭で配管の底面には100kPaの圧力がかかるので、この関係から逆算すればポンプの揚程を計算することができます。
kWとkJの考え方については次の記事に記載してあります。
【熱力学】ワットとジュールの変換方法
3. まとめ
- ポンプの効率は軸動力と水動力で計算できる
- モーター損失とポンプ損失がある
- ポンプ固有の値で性能曲線で確認できる
ポンプを選定する場合は、実際の使用ポイントがどの程度の効率になるかを把握しておく必要があります。