設備を新規導入する際に、ポンプの選定を任された経験がある方は多いと思います。型式や能力など気にすることが多く、慣れていないと大変ですよね。
また電池と同じように、直列・並列という接続方法があり、これも液体の使用状況を考慮して組む必要があります。
今回は、ポンプを並列に設置する際の注意点についてまとめました。
こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらもどうぞ。
なぜポンプの並列運転を選択するのか?
ポンプを複数台設置するのは、ポンプ1台では能力が足りないためです。
連続的に運転するポンプであれば、配管を繋ぐだけで複数台設置が可能なため、多くの用途で使われる渦巻ポンプをはじめとする遠心ポンプや、容積式ポンプなどで可能です。
ポンプ選定時には吐出量Qと全揚程HをHQ曲線を見ながら確認しますが、
- 揚程(圧力)が足りない場合は、直列設置
- 吐出量(流量)が足りない場合は、並列設置
を検討すると覚えておいてください。
わかりやすい動画がありましたので、こちらも参照ください。
参考:荏原製作所 渦巻ポンプの基礎知識 14:30あたりから
ポンプの並列運転の注意点は?
実際に設置を検討する際には、どんな点を考慮する必要があるのでしょうか。
合流後の配管サイズを太くする必要がある
例えば、2つのポンプを使用する場合を考えます。同サイズ配管で2本分の水量を加圧し、1本に合流したサイズが同じだった場合、配管抵抗が大きくなってしまいます。
上記の図の抵抗曲線でいうと、左上にずれていくことになるため、ポンプで押し出せる量が減ってしまいます。
逆にいうと、配管全体の工事ができない既設の現場の場合、流量を上げようとポンプを2台設置しても、実際に流れる最大流量は2倍にはならないということです。機器選定の際は十分注意してください。
ポンプの性能が違うと締め切り運転になるケースがある
複数設置の場合で、ポンプの能力が異なるものを設置すること自体は問題ありません。
しかし、能力の小さいポンプの全揚程よりも、配管抵抗が上回ってしまった場合、そのポンプから水は吐出されず締め切り運転になり、最悪の場合故障してしまいます。
そのような運転状況が考えられる現場では、能力が同じポンプを選定することをお勧めします。
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1台運転の場合、NPSHAが下がる
台数制御を目的に、並列設置を行うケースです。
ポンプ1台のサイズ・能力が下がるため、有効吸い込みヘッドNPSHAが小さくなります。これに対して、吸い上げる高さが大きすぎないか、確認してください。
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ポンプの吐出側に逆止弁が必要
並列設置の場合に限りませんが、合流部手前に逆止弁をつける必要があります。ポンプの能力が違う場合や、インバータ制御している場合などに起こりうる、逆流を防止してくれます。
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まとめ
- ポンプの並列設置は流量を補うために取る手段。
- 一方が締め切り運転にならないように注意する必要がある。
大きなポンプからの切り替えで、省エネが図れるケースがあります。ご検討ください。
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