制御盤を使って工場の設備を運転する場合の制御方式として、大きく分けてリレーシーケンスとPLC制御があります。
最近では制御機構も複雑化してきたことからPLCが使用される場合が多いですが、場合によってはリレーシーケンスの方がコストが安く抑えられる場合もあります。
今回は、リレーシーケンスとPLC制御の使い分けについてメリットデメリットをまとめてみたいと思います。
こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらもどうぞ。
リレーシーケンスとは
リレーシーケンスは電磁リレーや調節計を複数組み合わせて、自動制御を行う制御方式です。
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電磁リレーを使うことで、小さい電圧で大きな電圧の機器を操作することができ、古くから利用されてきた方式です。
リレーシーケンスの動作内容を表す図をシーケンス図と言います。次の記事の自己保持回路の図もシーケンス図で表しています。
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リレーシーケンスで組まれた機器は制御盤を開けると大量の直方体の電磁リレーが付いているのでとても分かりやすいです。電磁リレーのメリット、デメリットは次のようになります。
リレーシーケンスのメリット
- 故障個所が分かれば部品交換だけで済む
- 簡易な内容の制御であればPLCよりコストが安くなる
- テスターがあれば故障個所が分かる
リレーシーケンスのデメリット
- 接点の寿命がある
- 複雑になると制御盤サイズが大きくなる
- 調節計の操作が分かりにくい
PLC制御とは
PLCとはProgrammable Logic Controllerの略で、リレー回路の代替装置として開発された制御装置です。
シーケンサとは三菱電機の商標で、「PLC」というのが一般的な機器の名称になります。
最近ではタッチパネルと一体になっているものも多く、制御盤の扉にタッチパネルが付いている様子も一般的になってきました。
PLCの制御内容を表す図のことをラダー図と呼びます。PLCの制御内容を変更する場合は、専用のソフトがインストールされたPCをつないで書き換えたり、USBに保存したプログラムを一式インストールすることでできます。
PLCのメリットデメリットは次のようになります。
PLC制御のメリット
- プログラムの変更がしやすい
- 接点の寿命がない
- タッチパネルで感覚的に操作しやすい
- 複雑な制御が省スペースで出来る
- 部品同士の配線が不要(コストダウン)
- ソフトウェアなので量産化が容易
PLC制御のデメリット
- メーカー変更のハードルが高い
- PLCが壊れると一式交換が必要
- 操作画面の作成が必要
リレーシーケンスとPLCの使い分け
最近では、複雑になればPLCが使用されるのが一般的ですが、単純な制御機構の場合はリレーシーケンスを使用することもあります。
また、PLCとリレーを組み合わせて使用する場合もあります。タッチパネルにするのか調節計やリレーの組み合わせにするのかは次の3つの条件で検討します。
- サイズ
- 価格
- 操作性
実際に制御盤を納入する際に、どの程度の操作性やコストであれば許容できるのか考える必要があります。
制御システムによってはPLCの方が安い場合もあれば、リレーの方がソフトの制作費がかからないので安く済むこともあります。
工場によってある程度のルールが決まっている場合もあるので、導入の際には確認が必要です。
まとめ
- リレーシーケンスはリレーや調節計を使用すること。
- PLC制御はPLCを使用して省スペースで複雑な制御を行うこと。
- それぞれの使い分けは、サイズ、価格、操作性を考えて決める。
リレーシーケンスとPLCはどちらにしようか悩むところですが、メンテナンス性なども考慮して決定する必要があります。