圧力の高い流体を使用する場合には、機器や配管に安全弁を設置します。
この時、安全弁の設定圧力をどう決めればいいか分からないことってありませんか?
この記事では、安全弁の設定圧力を決める基準とどんな時に設置するかを記載しています。
1. 安全弁とは?
安全弁は逃し弁とも呼ばれ、内部の圧力が異常に上昇した場合に開弁させ、圧力を降下させる機器です。
全量式、揚程式、レバー付きやレバーなしなど様々な種類がありますが、基本的な役割はすべて同じです。
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【安全弁】揚程式と全量式の違いや使い分けについて
2. 安全弁の設定圧力の基準
安全弁は、ある一定以上になると開弁する弁ですが、ほとんどの場合出荷時に、開弁し始める圧力を設定してやる必要があります。
そこで、安全弁は現場で調整するのではなく、設計段階で開弁圧力を指定してやる必要があります。
ここで設定圧力の基準になる項目が次の2つです。
2-1. 圧力容器にならない値
タンクや熱交換器が圧力容器になるかどうかは、機器の内圧と容積によって決まります。
この時、内圧は最高使用圧力、つまり安全弁の設定圧力ということになります。
圧力容器になると、検査等の面倒な作業が増えるため、圧力容器にしたくない場合は、安全弁の設定圧力を下げる必要があります。
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2-3. 機器の耐圧
圧力容器の次に考慮するのは、各機器の耐圧です。
安全弁を設置する系統には、場合によれば、ポンプやセンサーなどの機器が設置されています。
これらの機器にはそれぞれ最高使用圧力が設定されています。安全弁の設定圧力は、最高使用圧力が最も低い機器に合わせてやる必要があります。
3. 安全弁が必要な場合
安全弁が必要になるのは次のような場合が上げられます。
3-1. 供給するユーティリティーの元圧が高い
水や蒸気などのユーティリティーを減圧弁で減圧して供給している場合、減圧弁の故障などで、機器に元圧がそのままかかる場合があります。
機器の故障などのトラブルにつながるため、安全弁を設置することで防止します。
3-2. 熱膨張が考えられる
温水配管など、水を加熱する場合は熱膨張によって管内の圧力が上昇する場合があるため安全弁を設置します。
水は非圧縮性流体なので、少し放出してやるだけで圧力は急激に下がります。
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4. まとめ
大気圧以上の流体を扱う機器では、ほとんどの場合安全弁を設置しますが、設定圧力の基準について情報があまりなかったので記載してみました。
安全弁は、工場やプラントを安定的に稼働させるのに非常に重要な機器なので、その設定圧力には細心の注意が必要です。
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