テスターを現場で使う、というのはありふれた作業ですが、普段使わない人にとっては緊張しますよね。
今回は、テスターの仕組みと、電圧・抵抗測定をする方法について解説したいと思います。
テスターの構成部品
テスターはハンディータイプ、ペンシルタイプなどいくつかありますが、構成部品の例を紹介します。
テスターには直流電圧、交流電圧、抵抗、電流など測定する機能がありますが、全て直流電圧測定部を通ります。つまりどの値も直流電圧に変換して、観測値に換算しているということです。
測定目的に応じて、電圧測定時には分圧器、抵抗測定時には抵抗/電圧変換器、電流測定時には電流/電圧変換器に対して入力され、直流電圧測定部へつながります。
筆者の個人用ハンディタイプのアナログテスター。
テスターの仕組み
電圧測定
直流電圧測定時は、測定レンジによって異なる抵抗分圧器を通って、直流電圧測定部で値を観測します。
測定レンジはテスターによって違い、400mV〜400Vで10倍ずつ上がるものもあれば、2.5-10-50-250Vといった区切りのものもあります。オートレンジ機能のついた機種であれば設定の必要はありません。
交流電圧測定時には、交流/直流変換が行われます。それ以降の流れは直流電圧測定と同じです。
抵抗測定
抵抗測定時には、抵抗/電圧変換器に接続されます。
測定対象に対して、電源から一定の電流が流され、発生した抵抗が測定されます。測定レンジの変更には、標準抵抗器が用いられます。
テスターの測定方法
電圧測定方法
電池など直流電源を測定するときには、以下の手順で行います。
- 測定レンジを測定対象の電圧に合わせる、不明なら最大レンジから始める。
- テスト棒の赤色を電池の+、黒色(コモン)を−に接触させる。
- 感電リスク防止のため、テスト棒の金属部分に直接触らないようにする。
交流電源の測定時には、交流電圧の機能にカーソルを合わせますが、測定方法は直流と同じです。交流の場合は赤色・黒色(コモン)は関係ないので、どちらの端子に接触させても構いません。
交流と直流では波形が異なるので、共に100Vの表示であったとしても、交流では最大1.41倍(√2倍)の電圧がかかっています。
写真を撮った瞬間は1.4Vでした。要交換です。
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抵抗測定方法
抵抗測定は、以下の手順で実施します。
- 抵抗測定機能に切り替えて、測定レンジを対象の抵抗値より大きい値で選ぶ。
- 測定対象の端子にテスト棒を接触させる、赤色・黒色は気にしなくて良い。
- 誤測定防止のため、テスト棒の金属部には触れない(人体の抵抗値が並列で測定されてしまうため)。
ボール弁の金属抵抗を測ってみると、25Ωでした。
まとめ
- テスターは直流電圧に変換することで、抵抗値や交流電源などを測る機器。
- 電圧測定、抵抗測定は回路を直列・並列に接触させることで、測定することができる。
- レンジを合わせる際に注意が必要。
現場では断線の確認や、抵抗器・コンデンサ・リレーなどの電子部品の抵抗測定にも用いられますよね。ぜひ練習してみてください。