電動機などを扱っていると「サーマルがトリップして動かなくなった」なんて言葉を聞くことはありませんか?
電気についてある程度慣れている人にとっては当たり前のように扱う言葉ですが、始めて聞いた人にとっては何のことを言っているのかわからないということもあるかと思います。
今回は「サーマルがトリップする」とはどういうことかについて詳しく解説してみたいと思います。動画でも解説しているので、良ければこちらもどうぞ。
サーマルがトリップするとは?
サーマルがトリップするというのは、機器を保護するためのサーマルリレーに過電流が流れ、強制的に回路が遮断されることを言います。過電流の原因としては、漏電、短絡、ゴミ噛み、過負荷などが挙げられます。
サーマル(Thermal)は熱という意味で、サーマルリレーは熱によって開閉するリレーのことを言います。また、トリップ(Trip)は外れる、切れるという意味を表します。
つまり「サーマルがトリップする」とは言い換えると「サーマルリレーの接続が切れる」という事を表します。
サーマルリレーは中に過電流によって熱を発生するヒーターと温度を感知するバイメタルが入っています。サーマルリレーに過電流が流れるとヒーターが熱を発し、バイメタルが湾曲する事で強制的に回路を遮断する機器です。
アニメーションを作成したのでこちらをご覧ください。
ヒューズやサーキットプレテクタも同様の目的で使用されます。
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サーマルがトリップするとどうなる?
三相誘導電動機の一般的な回路を書きました。
通常、電源から配線用遮断器(MCCB)を通ってサーマルリレーにつながります。間に入っている電磁リレー(MC)は遠隔により安全に運転・停止が行えるようになっています。
サーマルリレーの接続が切れると、モーターへの回路が途切れるため運転ボタンを押しても電動機が動かなくなります。
サーマルリレーについているスイッチを押すと復帰させることができますが、過電流の原因が解消していない場合は、再びトリップするので注意が必要です。
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まとめ
- サーマルがトリップするとは、過電流により回路が遮断されること。
- トリップすると電動機が動かなくなる。
- 復帰させるためには過電流の原因を特定する必要がある。
電気を扱う現場では聞きなれない言葉も多いですが一つずつ意味を理解していけば単純なものが多いです。