熱力学

【熱力学】ワットとジュールの変換方法

熱量を表す単位のワットとジュール。

熱の計算になれないうちは、この2つの単位を理解するのに苦労するのではないでしょうか?

今回は、ワットとジュールの違いや変換方法について解説してみたいと思います。

こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらもどうぞ。

1. ワットとジュールの違いとは?

ワットとジュールは同じ熱量を表す単位ですが、考え方が異なります。

1-1. ワット

ワットは1889年に採用された単位で、1ワットは毎秒1ジュールに等しいエネルギーを生じさせる仕事率と定義されています。

SI単位で表すと次のような式になります。

$$W=\frac{J}{s}=\frac{m^2・kg}{s^3}$$

ワットは熱交換器の能力やポンプの必要電力、発電機の出力など様々なところで使用されます。1秒あたりの仕事量という事で、瞬時的な能力の大きさを表す指標になります。

日々の生活では家電などにジュールよりもワットが使われることのほうが多いのは、時間の概念が入っていることで能力の大きさが表しやすいからです。

エネルギーの単位であるジュールを時間で割ったものがワットになるので、逆にワットに時間をかけるとジュールに戻すことができます。

電気使用量などはkWhなどで表されますが、kwhは1時間当たり3600秒なので次のように変換することができます。

$$kWh=kW×3600[kJ]$$

キロワット秒やキロワット時というのは日本の計量法によるもので、電力量を表すのに使用されます。電気料金の支払いなどをみるとkWhで記載されていますよね。

また、冷凍機などの冷凍能力を表す場合は「単位時間あたりに取り去れる熱量」と定義されています。暖房か冷凍かによって同じkWでも意味合いが異なります。

1-2. ジュール

ジュールは「標準重力加速度の下でおよそ102グラムの物体を1メートル持ち上げるときの仕事」と定義されています。

SI単位で表すと次のような式になります。

$$J=N×m=\frac{kg・m^2}{s^2}$$

ジュールは物体の比熱や加熱に必要な合計エネルギーなどを計算する際に使用します。以前はジュールではなくカロリー(1gの水を1℃昇温させるのに必要なエネルギーを1カロリーという)で表記されることが多かったですが、今では国際的にジュールで表すことが多いです。

ワットは単位時間当たりの能力、ジュールはエネルギー量といったイメージでしょうか?

【熱力学】ワットとカロリーの変換方法

2. ワットとジュールの変換は?

ワットとジュールの変換式をまとめると次のようになります。

$$W=\frac{J}{s}=\frac{m^2・kg}{s^3}$$

$$kWh=kW×3600[kJ]$$

$$J=N×m=\frac{kg・m^2}{s^2}$$

最初は少し理解しにくいかもしれませんが慣れるしかないですね。

熱量計算を行うときはジュール、伝熱能力を表すときはワットで表すことが多いです。

3. 実際に計算してみよう

ワットとジュールの関係性を問われる問題は毎年出題されるので、エネルギー管理士試験の2015年課目Ⅰから例題を解いてみたいと思います。

問題

ある工場で節電のために14時から15時の間の平均電力を500kWに抑えることにした。このとき、14時から14時40分までの使用電力量が350kWhであったとすると、残りの14時40分から15時までの平均電力は何kWにする必要があるか?

解答1

解き方はいろいろあると思いますが、理解のためにまずはジュールに変換して考えます。

14時から15時の1時間で使用してもいい合計熱量は

$$500kW×3600sec=1800000kJ$$

14時からの14時40分までの40分で使用した350kWhをジュールに直すと

$$350kW×3600sec=1260000kJ$$

残り20分で使用できる熱量は

$$1800000kJ-1260000kJ=540000kJ$$

20分は1200秒なので

$$\frac{540000kJ}{1200sec}=450kW$$

よって平均電力は450kWになる。

解答2

こちらは過去問の回答に載っているものです。

14時から14時40分までの間に350kWh使用したので、残りの15時までの20分間では

$$500kW-350kW=150kW$$

使用可能である。

よって、20分間で150kWであるので60分に換算すると

$$150kW×\frac{60min}{20min}=450kW$$

となる。

解答2のほうがスマートですね(笑)

4. まとめ

この記事のポイント

$$W=\frac{J}{s}=\frac{m^2・kg}{s^3}$$

$$kWh=kW×3600[kJ]$$

$$J=N×m=\frac{kg・m^2}{s^2}$$

結局のところ、言いたいことは上の式だけです。

ワットとジュールの変換は最初苦労しますが、何回か練習すれば使いこなせるようになると思います。

  • この記事を書いた人

エコおじい

プラント業界一筋のエンジニアです。「工業技術をどこよりも分かりやすく解説する」をテーマに2017年からブログ、Youtubeで情報発信をしています。保有資格はエネルギー管理士と電験三種です。

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