物体の流れを止めるバルブには様々な種類があります。
どのバルブも「流れを止める」という目的は同じですが、場合によってどのバルブを選択すればいいか迷うことってありませんか?
今回は、そんなバルブの中でも代表的なボールバルブとグローブバルブの使い分けについて解説したいと思います。
こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらもどうぞ。
ボールバルブとグローブバルブ

ボールバルブとグローブバルブでは弁内部の構造が違います。
ボールバルブは中に穴の開いた球が入っており、その球が90℃回転させることによって開閉弁を行います。中の構造については下のメーカーのホームページのバルブの基礎という項目を参照にしてください。
⇒ KITS HP(外部リンク)
一方、グローブバルブはバルブ内がS字状になっており、弁体をSのくびれの箇所に押し付けることで開閉弁を行います。このような内部の構造から、同じ量の流体が流れたとき、ボールバルブに比べ、グローブバルブのほうが圧力損失が大きくなります。
圧力損失が大きくなると、流速が大きくなった際に欲しい圧力が得られなくなり、機器の性能を発揮できないなどのトラブルが発生します。
ボールバルブとグローブバルブの使い分け
このような構造の違いから、ボールバルブやゲートバルブよりグローブバルブを使用したほうがいい場合は次のようになります。
- 流量を調整したい。
- トラブルの際に微開にすることがある。
- 多少の圧職損失が問題にならない。
例えば、ボールバルブでは開度を0%か100%にすることしかできず、流量を調整するといった用途では不向きです。
また、一見グローブバルブと構造が似ているゲートバルブですが、こちらも中途半端な開度で使用した場合、弁体が徐々に削られ、全閉にしたいときにシール性が悪くなる恐れがあります。
よって流量を調整したり、少しだけ開けて運転させる可能性がある場合はボールやゲートではなくグローブを設置するほうが良いといえるでしょう。
具体的には、主要な機器のバイパスや水道の蛇口などにはグローブを設置し、前後にはボールやゲートを使用するという風に使い分けます。
ゲートバルブと似た構造のものでバタフライバルブもあります。バタフライバルブの場合は流量調整はできますが、調整感度はグローブバルブより悪く、大型の配管などに使用することが多いです。
バタフライバルブについては次の記事にまとめてあるので合わせてご覧ください。
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まとめ
- ボールバルブは全開、全閉のみの用途で使用する。
- グローブバルブは開度調整が必要な個所に使用する。
- グローブバルブはフルポートではなく圧力損失が大きいので注意する。
バルブなんてどれでもいいと考えがちですが、色々な種類があるということは、それぞれに使い分けが必要という意味があります。
安易に選択せずに、実際に使用するときを思い浮かべながら、より最適なバルブを選ぶように心がけてはいかがでしょうか?

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