ボイラーからボイラー水が持ち出されることをキャリーオーバーといいます。
キャリーオーバーには発生する要因によってプライミングとフォーミングという2つ分けることができます。
この2つの現象は似ているようで発生要因が全然違います。今回はプライミングとフォーミングについて、発生要因やその対策を解説してみたいと思います。
目次
1. プライミングとフォーミングの違い
1-1. プライミング
プライミングはボイラ負荷変動、ドラム水位の上昇によってボイラー水と蒸気が気液分離されないまま送り出される現象 のことです。
これは、炭酸水を振ってから蓋を開けると中の液体があふれ出すことに似ています。
- 炭酸水を振ると、溶けていた二酸化炭素が気化して内圧が上がる
- 蓋を開けることで一気に内圧が下がる
- 液体が泡立ち、あふれ出す
これがボイラーで発生するのがプライミング現象です。
1-2. フォーミング
フォーミングはボイラ水中の油脂類,溶解固形物,浮遊物などによってドラム水面 に多量のあわを生ずる現象です。
フォーミングでイメージするのは、石鹸や洗剤を溶かした水に空気を入れると泡立つというイメージが近いです。
- 水は空気が入っても表面張力によって泡がすぐ消える
- 石鹸水や洗剤が混ざると界面活性によって水の表面張力が下がる
- 空気が入ると泡立つ
ボイラー水中に不純物が混じることによって泡立ちが発生するのがフォーミングです。
石鹸の原料は油脂なので、感覚的にも理解できるかと思います。
2. ボイラー水が持ち出されると?
プライミングやフォーミングによってボイラー水が持ち出されると工場の生産に影響を与えます。
蒸気で加熱を行っていた装置では伝熱能力の低い水が混入することで加熱効率が低下する、また蒸気配管内に大量の水が混入することで蒸気ハンマーが発生するなどの弊害が発生します。
他にもいくつか考えられますが、とにかく蒸気配管中にはできる限り水分を取り除くことが重要です。
3. それぞれの対策は?
もし、プライミングやフォーミングが発生するときは、ボイラーメーカーの推奨する使い方になっていない可能性が高いです。
取り扱い説明書などで対策を見ながら、メーカーに問い合わせてみるのもいいと思います。
3-1. プライミング対策
プライミングの対策としては次のようなものが挙げられます。
ボイラーの負荷を急変させない
水位を適正に保つ
具体的には、立ち上げの際は蒸気のバルブをゆっくり開けたり、水位が高くなりすぎないように制御を加えるという対策が必要になってきます。
3-2. フォーミング対策
ボイラー水を入れ替える
水質を監視する
フォーミングはボイラーに供給する水に不純物が多いか、ブローが不足することでボイラー内で不純物の濃度が上昇することが問題です。
なので、ボイラー水を適正量ブローしたり、供給する水の水質を監視したりという対策が必要になります。
4. まとめ
この記事のポイント
ボイラ水を持ち出す現象にはプライミングとフォーミングがある
プライミング、フォーミングは発生要因が違う
発生要因を理解したうえで対策をすることが重要
プライミングとフォーミングの違いについて感覚的に理解できたでしょうか?
どっちがどっちか忘れやすいので、注意が必要です。