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電力

【電力】フェランチ効果って何?原理と対策について

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交流送電を行う際、発生する問題の1つとしてフェランチ効果があります。

エネルギー管理士や電験3種などでもよく問われる現象の1つなので、発生要因や弊害、また防止するためのための対策についてイラストを用いて詳しく解説したいと思います。

フェランチ効果とは

フェランチ効果とはある特定の条件下で受電端電圧が送電端電圧よりも高くなる現象です。

フェランチ現象と呼ばれる場合もあります。直流回路ではフェランチ効果は発生しませんが、交流回路では電圧と電流に位相のずれが生じることからこのような不思議な現象が起こります。

フェランチ効果が発生すると8000Vで送電したものが受電端で10000Vになっていたなどという現象が起き、様々な弊害を発生させます。

送電よりも受電のほうが大きくなることに違和感を覚えるという方は、交流回路のRLC直列回路を意識すれば理解しやすいかもしれません。

フェランチ効果の要因

フェランチ効果の要因について考えます。

まず、次のような等価単相回路を例にとってみてみます。向かって左側が発電所、右側が受電側です。

この時、Rは送電線路の抵抗[Ω]、Xlは誘導性リアクタンス[Ω]、Xcは容量性リアクタンス[Ω]を表します。誘導性リアクタンスはコイル、容量性リアクタンスはコンデンサを表します。

工場等の負荷はほとんどの場合、空調機、ポンプ、蛍光灯などの誘導性負荷のため力率をcosθとします。また、負荷に並列でコンデンサが入っているのは遅れ力率を改善させるために受電側に設置されています。

抵抗に流れる電流をI[A]、コンデンサに流れる電流をIc[A]、負荷に流れる電流をIa[A]、送電端電圧をVs[V]、受電端電圧をVr[V]とすると、電圧を表す式は次のようになります。

$$V_r=V_s-RI-jX_LI$$

$$V_s=V_r+RI+jX_LI$$

jは虚数を表し、位相が90℃進んでいること-jは90℃遅れていることを表します。また、記号の上にある「・」はベクトルであることを表しています。

それぞれの電圧と電流をベクトル図で表します。

  • 受電端電圧Vrを基準にとると、コンデンサの電流Icは90℃進む。
  • 負荷を流れるIaは電圧Vrに対しθ℃だけ遅れる。
  • IはIcとIaの足し合わせたものになる。
  • 抵抗Rの電圧は電流Iと同相になる。
  • コイルXlの電圧は電流I対し電圧は90℃進む。
  • VrとRIとjXlIを合計したものがVsになる。

ベクトル図を見ると通常負荷の場合は受電端電圧Vrよりも送電端電圧Vsのほうが大きくなるということが分かります。

では、フェランチ効果はどのような場合に起こるのでしょうか?

フェランチ効果は次の2つに当てはまったときに発生します。

負荷の電流が小さいとき

まず1つ目は、休日や夜間などで負荷が極端に小さい場合です。先ほどと同様にIaを小さくしたベクトル図を記載します。記載する順番は先ほどと同じです。

ベクトル図を見ると、Iaが小さくなったことでIcの影響が大きくなり、電圧Vrに対して電流Iの位相が進んでいることが分かります。この場合、受電端電圧Vrよりも送電端電圧Vsの方が小さくなりフェランチ効果が発生していることが分かります。

次にIaがさらに小さい極小負荷の場合を考えます。この場合のベクトル図は次のようになります。

先ほどに比べ、さらに受電端電圧Vrと送電端電圧Vsとの差が大きくなりました。このことから、通常状態に比べ、負荷が小さくなればなるほどフェランチ効果は発生しやすくなるということが言えます。

送電線路の静電容量が大きい場合

次に送電線路の静電容量が大きい場合もフェランチ効果は発生しやすくなります。静電容量が大きいというのは次の2パターンがあります。

  • 送電線路が長い
  • 電線を地中に埋めている(地中電線路)

電線を地中に埋める地中電線路は地面との距離が長い架空電線路よりも静電容量が非常に大きくなります。送電線路の静電容量が大きいとなぜフェランチ効果が発生しやすいのかについて解説します。

まず、充電電流Icを式で表します。角周波数をω[rad/s]、静電容量をC[F]とするとオームの法則より次のようになります。

$$Ic=\frac{V_r}{-jX_c}=jωCV_r$$

この式より、静電容量C[F]が大きくなるとIcが大きくなるということが分かります。先ほどと同様にIcを大きくしてベクトル図を作ると次のようになります。

負荷電流が小さい場合と同様にIがVrに対して進み電流になり、フェランチ効果が発生しているのが分かります。このことから、静電容量が大きければ大きいほど、フェランチ効果は発生しやすいと分かります。

フェランチ効果の弊害

フェランチ効果が発生すると受電端に過剰な電圧が発生することになります。一般的にスペック以上の電圧がかかった場合に設備に与える影響は次のようなものがあります。

  • 絶縁物を劣化させる。
  • 変圧器の寿命が縮まる。

ただ、この部分に関してはあまり詳しい情報が載っておらず、ほかにも問題があるかもしれません。

フェランチ効果の対策

フェランチ効果が発生した際に、電圧上昇を防ぐ方法として、次の2通りがあります。

電力用コンデンサの開放

通常負荷時の遅れ力率を改善するために電力用コンデンサを接続している場合は、夜間、昼間などの軽負荷時に開放することで、静電容量を小さくしてフェランチ効果の発生を抑制できます。

分路リアクトルの接続

調相設備の1つである分路リアクトル(コイル)を並列に設置することで、線路電流を遅れさせ、フェランチ効果を抑制することができます。

まとめ

  • フェランチ効果は送電端よりも受電端のほうが高電圧になること。
  • 負荷電流が小さいとき、静電容量が大きいときに発生する。
  • 絶縁物の劣化や変圧器の寿命を縮める要因になる。
  • 対策としては分路リアクトルやコンデンサの開放が有効。

以上、フェランチ効果の解説でした。一見不思議な現象に見えますがベクトル図を描いてみるとよく理解できるということが分かりました。

是非、参考にしていただければと思います。



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エコおじい

プラントエンジニアです。工業技術をどこよりも分かりやすく解説するをテーマに2017年から情報発信をしています。最近、Youtubeも始めました。応援していただけるという方は更新情報などを発信するので、Twitterのフォローお願いします。

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