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【熱機関】オットーサイクルとは?線図や効率の計算方法を解説

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オットーサイクルは、ガソリンエンジンやガスエンジンなどで利用される火花点火の熱サイクルで、ガソリンなどの燃料が持つ熱エネルギーをピストン運動に変換します。

この記事では、オットーサイクルを利用してエンジンがどのように動いているのか、また何を変化させれば効率よくエネルギーを取り出すことができるのかについて解説していきたいと思います。

オットーサイクルとは?

オットーサイクルはドイツのニコラウス・アウグスト・オットーにちなんでつけられた熱サイクルで、2つの断熱変化と2つの等容変化によって構成されています。ここでいう断熱変化は、動きが一瞬のため外部との熱のやり取りがないとした変化のことを言い、等容変化とは体積が一定のまま状態変化することを言います。

オットーサイクルは主にエンジンなどの内燃機関の動きを理想状態に置き換えたもので、オットーサイクルが理解できれば、空気の圧縮比を上げることがエンジンの燃費向上につながるということが分かります。

圧縮比は最も容積が大きくなる時の容量と、最も容積が小さくなる時の容量の比率を表しています。

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オットーサイクルの基本サイクル

オットーサイクルの基本は次の6つの工程で表すことができます。

(出展:熱力学の基本のきPDF

  • 吸気:空気を吸入する。
  • 断熱圧縮:空気を圧縮する。
  • 等容受熱:火花点火。
  • 断熱膨張:膨張する。
  • 等容放熱:放熱する。
  • 排気:高温ガスを外に出す。

一連のサイクルを理解するのにわかりやすい動画があったので載せておきます。

まず、シリンダー内で燃料と空気を混合したものを圧縮し、火花を発生させることで瞬間的に爆発を発生させます。高温高圧の燃焼ガスは断熱膨張をすることでピストンを押し上げ仕事を行います。

仕事を終えた俳ガスは排気されます。この一連の動作を繰り返すことで燃料の熱エネルギーをピストンの動力に変換します。ピストンの動きを回転運動にするためにはクランクシャフトという機器によって行われます。

オットーサイクルの線図

オットーサイクルのP-v線図とT-s線図は次のようになります。資格試験でもP-v線図とT-s線図を選ぶ問題がよく出題されるのでしっかりと意味を理解しておきましょう。

P-v線図

P-v線図の場合は、1で吸気して1⇒2で圧縮されることで圧力が上昇します。2⇒3で火花によって爆発し、3⇒4で膨張することで圧力が下がります。そして最後に4⇒1で排気されて圧力が下がります。

この時、2⇒3で発生したQ1の熱量から排気で捨てられたQ2を引いたものが動力に変換されたと考えます。

(出展:熱力学の基本のきPDF

T-s線図

T-s線図では、断熱膨張と断熱圧縮の際に外部との熱のやり取りがないのでエントロピーが変化しないというところがポイントです。圧縮されると分子の動きが早くなるので、それがすべて熱エネルギーに変換されるというイメージです。

圧縮と膨張の2種類の等エントロピー変化があることを覚えておきましょう。

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オットーサイクルの熱効率

次にオットーサイクルの熱効率の考え方を見てみましょう。

オットーサイクルの目的は、燃料などの熱エネルギーを動力エネルギーに変換することなので、熱効率を表す場合は「どれだけの熱を取り込み、どれだけの熱を捨てたか」が重要になります。

つまり、何%の熱エネルギーを動力エネルギーとして取り出すことができたかどうかは次の式で表すことができます。

$$η=1-\frac{Q_2}{Q_1}$$

η:効率 Q1:入熱 Q2:出熱

この式をもとに、効率を高めるためにはどうすればいいかを考えていきます。

まずは作動流体をm[kg]の理想気体とします。この時、入熱、出熱共に体積一定の定容状態での変化となるため、Q1、Q2はそれぞれ次の式で表すことが出来ます。

$$Q_1=mc_v(T_3-T_2)$$

$$Q_2=mc_v(T_4-T_1)$$

cv:定容比熱 T1~T4:それぞれの温度[K]

定容比熱は体積一定の場合の気体の比熱を表しています。定圧比熱cpと定容比熱cvの関係は次の記事を参考にしてください。

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この式を最初の式に当てはめると次のように変換することができます。

$$η=1-\frac{T_4-T_1}{T_3-T_2}$$

1⇒2は断熱変化なのでT2はT1を用いて次のように表すことができます。これは断熱変化における変換公式の一つです。

$$T_2=T_1(\frac{V_1}{V_2})^{κ-1}$$

V1/V2を圧縮比εで表したとすると

$$T_2=T_1ε^{κ-1}$$

κ:比熱比(cp/cv) V1、V2:体積

一方、2⇒3は等容変化なのでT3は次の式で表すことができます。こちらも等容変化における変換公式の一つです。

$$T_3=T_2\frac{P_3}{P_2}$$

T2に先程の式を当てはめて、P3/P2を圧力上昇比ξで表したとすると

$$T_3=T_1ε^{κ-1}ξ$$

P2、P3:それぞれの圧力

同様に、3⇒4は断熱変化なのでT4をT3で表すと

$$T_4=T_3(\frac{V_3}{V_4})^{κ-1}$$

V1~V4の関係は次の式で表すことができます。

$$\frac{V3}{V4}=\frac{V2}{V1}=\frac{1}{ε}$$

これを上の式に代入すると

$$T_4=T_1ε^{κ-1}ξ(\frac{1}{ε})^{κ-1}=T1ξ$$

これらをすべて代入すると最終的に次のような式に変換することができます。

$$η=1-\frac{T_4-T_1}{T_3-T_2}$$

$$=1-( \frac{1}{ε} )^{κ-1}$$

細かい式の導出は覚える必要はありませんが、この式より、オットーサイクルの効率は圧縮比と気体の比熱比によって決まるということが分かります。

圧縮比、比熱比ともに高ければ高いほど効率は良くなります。但し、圧縮比が大きすぎると異常燃焼が発生するため、一般的には5~10が良いとされています。

圧縮比を上げるためには一般的に次のような方法がとられます。

  • 燃料のオクタン価を上げる。
  • 混合気を冷やす。
  • シリンダ温度を下げる。

この辺りは車に詳しい方ならご存じかと思います。

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オットーサイクルの平均有効圧力

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平均有効圧力は、1サイクル中で変化するシリンダー内の圧力を一定だと仮定した値を表すことで、排気量に関係なくエンジンの評価をすることが出来ます。

熱交換器でいう対数平均温度差LMTDと似たような考え方です。

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オットーサイクルの平均有効圧力は次の式で表すことが出来ます。

$$P_m=\frac{W}{V_s}$$

Pm:平均有効圧力、W:仕事、Vs:工程体積

有効平均圧力は仕事を工程体積で割ったものになります。これに先ほどの効率を計算する際に出てきた値を導入して変形すると最終的に次のようになります。

$$P_m=\frac{Q_1-Q_2}{V_1-V_2}$$

$$=\frac{mc_v[(T_3-T_2)-(T_4-T_1)]}{V_1-V_2}$$

$$=P_1\frac{(ξ-1)(ε^κ-ε)}{(κ-1)(ε-1)}$$

この式により、平均有効圧力は吸込圧力P1に比例することが分かります。また、圧縮比、比熱比、圧力上昇比も大きい方が仕事も大きくなるということが分かります。

オットーサイクルの計算問題

実際に数値を当てはめながら次の問題を解いてみます。

工程体積(排気量)2Lで圧縮比9.0のエンジンを積む自動車が得られる仕事W及び理論熱効率ηを求めよ。

このエンジンの圧縮はじめ圧力は0.1MPa、温度は70℃で最高温度は2000℃で作動流体は空気とする。但し、ガス定数を287[J/kgK]、定圧比熱を1.17[kJ/kgK]とする。

まず、仕事Wと理論熱効率を求める式を考えます。

$$W=Q_1-Q_2$$

$$=mc_v[(T_3-T_2)-(T_4-T_1)]・・・(1)$$

$$η=1-(\frac{1}{ε})^{κ-1}・・・(2)$$

問題文よりわかる値を整理します。

工程体積2Lより

$$V_1-V_2=2.0×10^{-3}・・・(3)$$

圧縮比9.0より

$$ε=\frac{V_1}{V_2}=9.0・・・(4)$$

その他の値は次のようになる。

$$P_1=0.1×10^6$$

$$T_1=70+273$$

$$T_3=2000+273$$

これらの値を利用して(1)と(2)を解いていきます。

まず、シリンダの体積を求めます。

(3)と(4)の連立方程式を解くと

$$V_2=\frac{V_1-V_2}{ε-1}$$

$$=\frac{2.0×10^{-3}}{9.0-1}=2.5×10^{-4}$$

$$V_1=εV_2=2.25×10^{-3}$$

次に空気の質量を求めます。

状態方程式より

$$P_1V_1=mRT_1$$

$$m=\frac{P_1V_1}{RT_1}$$

$$=\frac{0.1×10^6×2.25×10^{-3}}{287×(70+273)}$$

$$=2.29×10^{-3}$$

次に比熱比κを求めます。

$$c_v=c_p-R$$

$$=1.17×10^3-287=883$$

$$κ=\frac{c_p}{c_v}=\frac{1170}{883}=1.325$$

最後に各状態での温度を求めます。

$$T_2=T_1ε^{κ-1}=343×9^0.325=701[K]$$

$$T_4=\frac{T_3}{ε^{κ-1}}=\frac{2273}{9^0.325}=1113[K]$$

これらを(1)(2)に当てはめると、欲しい答えが導出できます。

$$W=1622[J]=1.622[kJ]$$

$$η=0.510$$

まとめ

  • オットーサイクルはエンジンの理想的な熱サイクル。
  • 2つの断熱変化と2つの等容変化から成り立つ。
  • 圧縮比を上げると理論熱効率が上がる。
  • 平均有効圧力は吸込圧力に比例する。

資格試験の場合、オットーサイクルはランキンサイクルほどの出題頻度はありませんが、P-v線図やT-s線図を聞いてくる問題は良く出題されるので全体をよく理解しておきましょう。

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エコおじい

プラント系エンジニアです。2017年から工業技術に関する情報をまとめて発信しています。最近、Youtubeも始めました。応援していただけるという方は更新情報などを発信するので、Twitterのフォローお願いします。

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