配管

【配管】配管流速の計算方法

配管を設計するときには、中を流れる流体の流速が非常に重要です。流速が速くなりすぎると摩擦によってエネルギーが失われ、圧力損失が大きくなったり、機器の寿命を縮めてしまいます。

圧力損失が大きいと、使用先で欲しい流量を確保できず、機器の能力が低下してしまいます。

今回は配管流速の基本的な考え方について解説したいと思います。実際に実務で配管を設計される方は、計算ソフトなどを利用すると思いますが、ソフトの計算ロジックを知っておくという意味でも重要です。

1. 配管流速の計算方法

配管流速は次の3つのステップで計算することが出来ます。

  1. 体積流量を計算する。
  2. 配管の断面積を計算する。
  3. 体積流量を断面積で割る。

それぞれ1つずつ確認していきます。

1-1. 体積流量を計算する

流体には体積流量と質量流量という2つの考え方があります。体積流量の単位はm3/h、質量流量の単位はkg/hになります。

例えば、1t/hの水を流した場合は体積流量約1m3/h、質量流量1000kg/hになります。水の場合は圧力が変わっても比体積(m3/kg)はほとんど変わらないので特に考慮しなくても問題ないです。

但し、空気、ガス、蒸気などを流す配管を設計する場合は圧力によって比体積が変動するので注意が必要です。配管内の圧力を考慮して比体積の値を入力する必要があります。

質量流量から体積流量に変換するには次の計算を行います。

$$体積流量[m^3/h]=比体積[m^3/kg]×質量流量[kg/h]$$

これによって1時間当たりに流したい流体の体積がわかりました。これを3600[s]で割ると1秒あたりに流れる量が計算できます。

1-2. 配管の断面積を計算する

次に配管の断面積を計算します。

例えば1インチ 25Aの場合、配管の内径はスケジュール40の場合27.2mm(0.0272m)です。この時の断面積を次の式で計算することが出来ます。

$$断面積[m^2]=内径[m]×内径[m]×\frac{π}{4}$$

一般的な円の面積の求め方です。

この式に当てはめると、25Aの場合は0.000581m2になります。

1-3. 体積流量を断面積で割る

配管流速は次の式で計算することが出来ます。

$$配管流速[m/s]=\frac{体積流量[m^3/s]}{m^2}$$

これで配管内の流速を計算することが出来ました。

2. 実際に計算してみよう

問題:1000kg/hの水を25Aの配管で流すと流速はどれだけになるか?水の比体積は圧力に関わらず0.001m3=1kgとする。

この場合、1000kg/hを3600で割ると0.278kg/sになります。これを体積に変換すると0.0000278m3/sになります。25Aの配管の断面積は0.000581m2なので、これで割ると約0.49mということがわかります。

このように、さまざまな条件で流速を計算しながら適切な配管径を選定していきます。

3. まとめ

  • 体積流量と配管断面積がわかれば流速がわかる
  • 気体の場合は比体積が変わるので圧力が重要
  • 流速を見ながら配管系を決める

簡単に配管流速の求め方を解説しました。

実際には流速だけではなく圧力損失なども計算しながら配管設計を行いますが、まずは流速を見て問題ないことを確認することが重要です。







  • この記事を書いた人

エコおじい

プラントエンジニアです。「工業技術をどこよりも分かりやすく解説する」をテーマに2017年からブログ、Youtubeで情報発信をしています。現在、5つのブログを運営中。毎月収益レポートを公開しています。是非、Twitterのフォローお願いします。



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