発電機の運用において、無効電力の制御は非常に重要です。発電機の無効電力を制御するために使用されるのがAQR(自動無効電力調整装置)です。
本記事では、AQRの基本的な仕組みとその制御原理、導入する目的について解説します。
AQRとは
AQRとは、自動無効電力調整装置のことで発電機の無効電力出力が設定した値(Var)になるように、界磁電流を制御します。
例えば、受電端のAQR制御とは、受電端の無効電力を設定した値に調整することを意味します。
発電機の制御にはAQRの他にもAPFR(自動力率調整装置)やAVR(自動電圧調整器)などがあり、状況に応じて切り替えて運用されます。
AQR制御の原理
AQRによって無効電力が制御できる原理は、同期発電機の特性によるものです。
具体的には、励磁電流を強めると電気子から遅れ電流が流れ、励磁電流を弱めると進み電流が流れるという特性(V特性曲線)を用いて、励磁電流を調整することで無効電力を調整します。
このため、励磁電流により無効電力を制御できる同期発電機は、進相コンデンサや分路リアクトルと同様に、受電端の力率を調整する同期調相機としても利用されます。
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AQR制御の目的
AQR制御の目的は、同期発電機の無効電力を制御することで、発電所の送電端の力率を1に近づけることです。
発電所内では、ポンプやファンなどの誘導性負荷により無効電力が消費されます。
これに対して、発電機が生み出す無効電力を釣り合わせることで、送電端の力率を1に近づけることが可能となります。力率が1に近づけば、負荷で消費されない無効電流を減らすことができるため、電力損失を抑えることができます。
まとめ
- 発電機のAQRとは無効電力を調整する装置
- 同期発電機の励磁電流を調整することで無効電力を制御できる
- AQRにより無効電力を調整することで送電端の力率を1にできる
発電機の制御は感覚的に理解しにくいものも多いですが、目的を理解して状況に応じた制御方式を選択しましょう。