電磁気というと、皆さんのお仕事ではどんなところで関わるでしょうか?
一般的には電子機器の記録装置や制御機器への配線に電磁シールドケーブルを使用するときや、職場の安全衛生を検討するときに関わるのではないかと思います。
今回は、それらの基礎である、電界と磁界の違い、そして電磁界についてまとめてみました。
電界とは
電界とは、電気のある空間を指した言葉で、英語ではelectric fieldと言います。
電気をよく通すものに電圧がかかったときや、絶縁体が帯電しているときに、電界が発生します。後述の磁界が変化した時にも、電界が発生します。
電界の強さは電界強度Eといい、単位はV/m(ボルト毎メートル)です。単位の通り電界は電圧と距離に関係があり、電界強度は距離が遠くなる程、急速に小さくなります。
高圧送電線からは、電界が発生しており、近い距離にいると高い電界にさらされている事になります。身近な電界で言うと、冬場にセーターを脱ぐ時などに発生する静電気も、電界が発生している事を示しています。
ちなみに、似たような言葉に電束密度Dがありますが、こちらは電荷が作る束の密度を示していて、両者には次のような関係があります。
合わせて覚えておきましょう。誘電率についてはこちらの記事で解説しています。
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【電気】誘電率と透磁率の違いを詳しく解説してみた
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磁界とは
磁界とは、磁気の働く空間を指した言葉で、magnetic fieldから来た言葉です。
磁石の周りではN極からS極に向かう磁界が生じ、また導体に電流が流れた時に電磁誘導で磁界が発生します。地球も北極がS極、南極がN極の性質を持っており、南から北に向かう磁場が発生しています(なので方位磁針のN極が北を示します)。
磁界の強さは、磁界強度Hという言葉で表され、単位はA/m(アンペア毎メートル)が用いられます。磁場は距離が離れると急速に小さくなる性質があります。
また、磁場の密度を表す磁束密度Bという言葉もあり、T(テスラ)が単位として用いられます。
両者の関係は、媒体の透磁率µを用いて次の式で表されます。
電磁界とは
「電磁波」という言葉をよく聞くことがあると思います。電磁界というのは、電界と磁界が存在する場を表した言葉で、英語ではelectromagnetical fieldと言います。
電界と磁界の関係式は、ファラデーの法則として知られています。
どんな時に電磁界が生じ、電磁波が発生するのでしょうか。
電気が流れる電線(導体)を考えてみます。導体に電流が流れると、電界が発生し、同時にアンペールの法則(右ねじの法則)により、その周りに磁界が発生します。この時、電池のように電圧に変化がない系であれば、電界も磁界も時間変化がなく、静電磁界と呼ばれます。周波数は0Hz、つまり「波」ではありません。
時間と共に、流れる電流の向きが逆になるとどうなるでしょうか。この場合、導体の周りにできる磁界の方向が逆になります。磁界によって新たに作られる電界、その次に作られる磁界も向きが逆になり、時間と共に方向の逆転が「波」として伝わっていきます。この伝わる波のことを電磁波と呼びます。
つまり、電磁波は交流電気のみから生まれるもので、原理的には直流からは発生しないということです。
ちなみに、電界と磁界が交互に発生すると書きましたが、両者は互いに垂直です。以下の動画が電磁波を分かりやすく表していますので、ご覧ください。
まとめ
- 電界とは電圧のかかった物がある空間を、磁界とは磁気が働く空間のことを指す
- 電磁界とは電界と磁界が存在する空間を表す言葉で、条件によって電磁波が発生する空間でもある
今回は触れていませんが、職場の衛生面での電磁界について、経済産業省からのリンクもあった、電磁界情報センターのwebサイトが、非常に充実していたのでリンクを掲載しておきます。こちらもぜひご覧ください。
⇒ 電磁界情報センター「電磁界について」(外部リンク)
また労働安全衛生総合研究所の、「職場環境と電磁界ばく露について」も参考になるかと思います。
⇒ 労働安全衛生総合研究所「職場環境と電磁界ばく露について」(外部リンク)
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