食品や医薬などの工場でよく利用される配管の接続様式にヘルール接続というものがあります。一般的には利用される頻度が少ないので「ヘルール」って何?という方も多いと思います。
今回の記事では、ヘルール接続とは何か、ヘルールのメリットデメリットについて書いてみたいと思います。
こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらもどうぞ。
1. ヘルールとは?
ヘルールは配管同士、または配管とバルブを接続するときの接続方式の一つです。英語のFerruleから来ておりそのままの発音で「フェルール」と呼ぶこともあります。
ヘルール配管の特徴は、取り外しが容易だという点です。ヘルールは一般的になフランジ接続やねじ込み接続とは違い、クランプという金輪で接続部同士を挟み込んで留めます。
クランプは併設されているネジ金具を回すとすぐに取り外すことが出来るので、配管やバルブを簡単にばらすことが出来ます。
このような利点からヘルール接続は主に医薬、食品、バイオなどのサニタリー分野で利用されます。サニタリー分野では配管などから発生する錆やスケールなどの不純物が製品に入ると不良品になります。
これをなくすため、ある工場では定期的に配管内洗浄を行い、異物が製品に混入しないようにマニュアル化されているところもあります。
2. ヘルール接続のメリット、デメリット
ヘルール接続のメリット、デメリットをいくつか列挙してみます。
2-1. メリット
- 取り外しが容易
- シールテープなどのゴミ混入リスクが低い
- 見た目がきれい
- 錆にくい
ヘルール接続では、ねじ込み接続のように接続部にシールテープを利用しないため、工事後にゴミが混入するリスクが低いです。
また、配管自体も鏡面仕上げになっていることが多く生産ラインの見た目が美しくなります。
食品工場で工場見学を実施している所では、見た目を美しくするためにサニタリー配管を利用しているところもあります。
ヘルールが利用される場合は、当然配管はステンレスなので錆は発生しにくいです。
2-2. デメリット
デメリットとしては、販売量が他の接続形式に比べて少なく、仕様としては特殊になるため価格も高価になります。
また、取り付ける角度が少しずれると内部の液体が漏れる可能性が高いということもあり、人体に有害な危険流体が流れる配管では利用できません。
フランジやねじ込みのように固く締め付ける接続ではない為、1MPaGを超えるような高圧配管としても利用は難しくなります。
3. まとめ
ヘルール接続は、あまり利用される頻度は多くないですが、サニタリー分野では全てヘルール接続にすることが必須になっているような工場もあります。
接続をヘルールにするという指定があった場合は、他の機器を選ぶ際にもサニタリー分野で利用可能か考えながら機器選定を行わなければいけません。
間違えないように注意しましょう。
配管
2024/7/7
【配管】ラプチャーディスクを設置する目的、安全弁との違いは?
産業施設やプラントの運用において、安全性を保つための圧力管理は非常に重要です。 過剰な圧力が発生すると、設備の損傷や事故の原因となり得るため、適切な圧力解放装置が必要です。 ラプチャーディスクと安全弁はその代表的な例ですが、それぞれの特徴や設置目的には明確な違いがあります。本記事では、ラプチャーディスクの設置目的と安全弁との違いについて解説します。 ラプチャーディスクとは ラプチャーディスクは、過圧保護を目的とした安全装置の一種です。主にプロセス産業や化学工場など、高圧の流体を取り扱う場所で使用されます。 ...
ReadMore
配管
2024/7/5
【配管】ストレーナに差圧計をつけるのはなぜ。設置するメリットは?
ストレーナは、流体システムにおいて異物や不純物を取り除くために使用される重要な機器です。 その中で、ストレーナに差圧計が設置されているのを見たことがある方もいるのではないでしょうか。本記事では、ストレーナに差圧計をつける理由について解説します。 ストレーナとは ストレーナは、流体(液体や気体)の中に含まれる固形物や異物を捕捉するための装置です。 流体がストレーナを通過する際に、フィルターが異物を取り除き、クリーンな流体だけが下流に送られます。これにより、ポンプやバルブ、熱交換器などの重要な機器が異物による ...
ReadMore
配管
2022/7/31
【配管】フランジ規格FFとRFの違い、使い分けは?
バルブや配管を接続するフランジにはJIS10Kなどの後ろにFFやRFという種別が記載されています。 低圧ではFFとRFでどちらを使っても問題ない場面が多いので使い分けが良く分からないという方も多いのではないでしょうか? この記事では、フランジの座面形状を表すFFとRFの違いについて解説します。 FFとRFの違い FF FFはFlat Face(フラットフェイス)の略で上の図のようにガスケットの座面を全面に仕上げたものを言います。主にJIS10K、JIS20K、JPI150、JPI300などの低圧で使用され ...
ReadMore
配管
2022/7/31
【配管】バッファータンクの役割とは?設置するメリットは
給排水系統や空気系統では負荷変動を抑えるためにバッファータンクが良く用いられます。 この記事では排水系統などで良く利用されるバッファータンクについて解説します。 バッファータンクとは バッファータンクとは気体や液体を一時的に貯留させるためのタンクです。レシーバータンクとも呼ばれ、給排水系統や空気系統などに設置されます。 バッファータンクを設けることで、設備のイニシャルコスト低減や工場の安定性を向上させることが出来、大きければ大きいほど変動許容率が上がります。 バッファータンクの役割 バッファータンクの役割 ...
ReadMore
配管
2022/7/31
【配管】バケットストレーナーとは何か、メリットデメリットを解説
ポンプや制御弁など重要な機器を保護するためにはストレーナーは必須です。 この記事では大口径の配管に良く採用されているバケットストレーナーとは何か、また、メリットデメリットについて解説します。 バケットストレーナーとは バケットストレーナーはバケット状のメッシュにて流体内の異物を取り除くための機器です。小口径で良く利用されるY型ストレーナに比べると大口径で利用されることが多い機器です。 内部のバケットは上部のカバーを取り外すことで取り出すことができ、定期的に洗浄を行うことで目詰まりなどを防止します。上部のカ ...
ReadMore