配管改造や機器導入時に必ずでてくるフランジ規格。JISとかASMEとか言葉が出てきますが、よくわからず使っている方も多いはず。
今回はASMEとJPIの違いにフォーカスして説明します。
規格とは
ものづくりには測ったり、組み立てたり、計算したりということが必要ですが、工場ごと国ごとに基準が違っては困ります。そこで国際的に、もしくは国内で標準化を図っています。
この標準のことを規格と言います。
日本で最もよく見聞きするのはJIS規格だと思いますが、これはJapanese Industrial Standardsの略です。産業標準化法に基づいて基準が決められており、フランジの規格もこれに含まれます。
余談ですがJISの日本語名称は日本工業規格だったのですが、最近(2019年7月)日本産業規格に変わったそうです。
ASMEもJPIも規格を指し、JISとは異なる基準を持ちます。
フランジにおける基準とは配管呼び径に対する外径、フランジ厚み、ボルト穴の数・中心径、セレーション有無(後述)などです。
ASMEとは
アメリカ機械学会(American Society of Mechanical Engineers)の略であり、この学会の作った規格のことをASME規格(アスメきかく)と呼んでいます。
産業分野をリードしてきたアメリカの歴史ある規格と言えます。
またASMEと調べるとANSI(アンシ)という言葉がよく出てきますが、こちらは米国国家規格協会(American National Standards Institute)の略で、日本でいうJISと同じものです。
ANSI規格のうち石油化学工業系の内容はASMEと同じ内容だそうで、メーカーのカタログを見るとよく「ANSI/ASME」という表記のされ方をしています。
なおASMEフランジにはセレーションと呼ばれる、中心から外に向かって掘ってある円筒状の溝があります。
シート面積を小さくすることでより強い力でシールする目的です。FF(全面座)フランジでは全体に、RF(平面座)フランジでは接触面にセレーションが入ります。
JPIとは
日本石油学会(Japan Petroleum Institute)が制定した規格で、ASMEを参考に作られたためほとんどの寸法が一致しています。
日本の石油業界の現場では多く使われている規格です。こちらの規格にはセレーションは通常は入りません。
ASMEとJPIの違いは?
寸法的には同じように聞こえますが違いが2点あります。
1つ目は日本とアメリカの配管規格の違いから生じる配管内径・外径の違いです。
全ての呼び径サイズではなく、一部のものはこの数値が微妙に異なります。規格の異なる配管とフランジを溶接で接続する場合は、外径が異なるため注意が必要です。
2つ目はセレーション有無です。上述の通りASMEは溝あり、JPIは溝無しです。
この2つは接続できるのかというと、低圧なら「柔らかい素材のガスケットで接続すれば問題ない」という声もありますが、高圧だと漏れるリスクがあります。
やはり規格の異なるフランジを接続するのはオススメできません。
まとめ
- ASMEとJPIはほぼ同じ寸法だが異なる点もある。
- 両者をそのまま接続するのは推奨できない。
よく見るフランジ規格の違いについて、明確になったでしょうか。ぜひ参考にしてみてください。
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