蒸気タービンを設置する場合には、セットでグランドコンデンサーを設置するのが一般的です。
今回は、グランドコンデンサーをなぜ使用するのか良く分からないという方に向けて、グランドコンデンサーを設置する目的を解説したいと思います。
グランドコンデンサとは
グランドコンデンサーとはタービンの軸封部から発生する漏れ蒸気や空気の吸い込みを防止するシール蒸気を凝縮させるための機器です。
発電機にせよポンプにせよ、蒸気でタービンを回し仕事を得る場合は必ず車室を貫通するローターが存在します。このローターは常に回転するため、車室を貫通する箇所は完璧にシールすることはできず、一部蒸気が漏れだしてしまいます。これを回収する機器がグランドコンデンサーです。
グランドコンデンサーを設置する目的は主に次の2つです。
- グランド部からの漏れ蒸気を回収する。
- タービン内への空気の混入を防止し、復水器の真空度を維持する。
例えば、背圧タービンで排気圧力が大気圧以上の場合を考えてみます。
この場合、タービンの内部は常に大気圧以上なので、グランド部からは蒸気が漏れだすことになります。グランドコンデンサーを用いずに、集めて屋外に排気させる場合もありますがエネルギーとしてはロスになります。
次に、復水タービンで排気圧力が高真空の場合を考えてみます。
この場合、後段は絶対真空に近い高真空になっているため、外部から空気を吸い込みます。空気が蒸気と違い、凝縮しないので復水器の真空度を悪化せさ、タービンの効率を低下させる可能性があります。
これらを防止するのがグランドコンデンサーです。グランドコンデンサーを設置した場合は次のようになります。
空気の吸い込みを防止する場合は、タービンのグランド部に0.01MPaG程度の微圧の蒸気を吹き込み、空気を吸い込まないようにシールします。
そして、漏れ蒸気とシール蒸気を合わせてグランドコンデンサーに集めて凝縮させます。グランドコンデンサー内は負圧になり、一部空気も混入するためファンやエゼクターで排出させます。
グランドコンデンサー内を高真空にしたい場合はエゼクター、微真空でいいという場合はファンを使用するのが一般的です。また、凝縮させるための冷却水はボイラー給水の余熱としたりすることで熱利用を行う場合が多いです。
グランドコンデンサー内は真空になるため凝縮水の排出は一般的な大気放出の形はとれず、U字配管を設けて水封させたり、高真空の復水器系統に回収させるなど工夫が必要です。
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まとめ
- グランドコンデンサーはグランド部からの漏れ蒸気を回収する。
- タービン内への空気の混入を防止し、復水器の真空度を維持する。
見た目はシンプルな熱交換器ですが、グランドコンデンサーがあるかないかで全体の効率を左右するような重大な機器です。
是非、設置してある目的を理解しておきましょう。
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