計測機器

【圧力計】原理に秘密あり!なぜマノメーターで圧力が分かるのか?

接続した2点の圧力差を測定する装置にマノメーターというものがあります。

実際に現場で使われているマノメーターはデジタル式のものが多いですが、エネルギー管理士などの資格試験ではU字管マノメーターの問題も出題されるので、原理はしっかり理解しておきましょう。

この記事では、マノメーターで圧力差を測定する原理や、種類、用途について解説していきます。

1. マノメーターとは?

マノメーターは圧力計の一つで、気体や液体の圧力を測定する装置です。測定域としては、ダクトやクリーンルームなど大気圧付近の圧力測定に使用されることが多いですが、高真空の領域でも使用することができます。

マノメーターには、U字管マノメーター、デジタル式マノメーター、傾斜管マノメーターなど様々なタイプがあります。

マノメーターの「マノ」という語源は、英語の接頭語で「蒸気、気体」という意味を表すようです。

以前は、ピトー管やU字管を用いたものが主流でしたが、今では電子式の簡単に測定できるものが主です。デジタル式のマノメーターには次のようなものがあります。

2. マノメーターの原理

マノメーターで圧力差を測定する原理について解説します。U字管とデジタル式で測定原理が違いますので分けて考えます。

2-1. U字管マノメーターの原理

U字管マノメーターは、U字管のなかに混合しない2種類の物質を入れ、両方の液面の高さを比較することで圧力差を測定することができます。

液面の高さと圧力差の関係については、次のような式が成り立ちます。

まず、左側について、それぞれのつり合いの式を作ります。この時、それぞれの物体の密度をρ1、ρ2と置いています。

$$P0-P1'=ρ1・h1・g・・・(1)$$

$$P1'-P1=ρ2(h2+h3)g・・・(2)$$

(1)+(2)より

$$P0-P1=ρ1・h1・g+ρ2(h2+h3)g・・・(3)$$

同様に、右側についてもつり合いの式を作ります。

$$P0-P'2=ρ1(h1+h2)g・・・(4)$$

$$P2'-P2=ρ2・h3・g・・・(5)$$

(4)+(5)より

$$P0-P2=ρ1(h1+h2)g+ρ2・h3・g・・・(6)$$

これで、それぞれのつり合いの式ができました。

(6)-(5)より

$$P1-P2=h2(ρ1-ρ2)g$$

という式が導き出せます。

この式から、P1とP2の差はそれぞれの物質の密度と、高さの差で算出することができるとわかります。密度差が小さいと、高さの差も大きくなるため、圧力差が大きい場合は水銀などを用います。

動画で解説されている方がいたので張り付けておきます。

2-2. デジタル式マノメーターの原理

デジタル式マノメーターの原理は、U字管マノメーターよりシンプルです。

シリコンなどの薄膜に埋め込まれたピエゾ抵抗素子を利用します。抵抗素子は、圧力がかかることで薄膜がたわみ電圧が変化します。この電圧信号を計測することで差圧を測定することができます。

ピエゾ素子についてはこちらに詳しく書いてあるので、参照していただければと思います。

TDK「テクの雑学」力で電気を生み出す仕掛け(外部リンク)

【圧力センサー】圧力センサーの測定原理とは?

3. マノメーターの一般的な用途

マノメーターは、圧力差が重要になるような用途で用いられます。

  • 排気ダクトの給気と排気の差圧
  • クリーンルームの差圧
  • 配管の気密チェックなど

3-1. ダクトの目詰まり確認

排気ダクトの給気と排気の差圧を測定することで、フィルターの目詰まりを事前に見つけることができます、

目詰まりが起きてなければ一定の差圧を維持しますが、目詰まりが発生すると給気がうまくいかず、差圧が大きくなります。

エアの用途にもよりますが、燃料の燃焼などに使っている場合は工場全体が停止するリスクもあり非常に重要です。

3-2. クリーンルームの差圧

工場のクリーンルームでは、ほこりなどのごみが混入しないように工場内が陽圧(正圧)になっており、常に中から外に風の流れがあるように維持されています。

差圧計の値を計測することで、常にそのような状態を維持できているか確認できます。

3-3. 配管の気密チェック

液化天然ガスなど、常に配管内が負圧になるような使い方では、気密性が悪いと常に空気を吸い込むことになります。

配管内と大気との差圧を確認することで、配管に漏れが生じていないかを監視することができます。

4. マノメーターの圧力と流速の関係

マノメーターを使用して圧力差がわかるとベルヌーイの定理から、同時に流速、流量を計算することができます。この原理を利用して、液体の流量を測定するものをオリフィス流量計や差圧式流量計といいます。

オリフィス流量計や差圧式流量計は絞りを設けるため圧力損失が大きくなるというデメリットがありますが、価格が安価なため良く利用されています。

差圧式流量計の原理はこちらのページに詳しく解説されてますので、そちらを参照して下さい。

⇒ 日機装「差圧式流量計の原理」(外部リンク)

圧力と速度の関係を表すベルヌーイの定理についてはこちらの動画が参考になります。

5. まとめ

  • マノメーターは圧力差を測定する計測機器である。
  • マノメーターは液体の密度と高さで圧力差を測定する。
  • 圧力差がわかれば流速や流量が測定できる。

マノメーターの原理について、理解していただけましたか?

他にもいろいろなマノメーターはありますが、代表的なものを理解できていれば後は応用が利くと思います。まずは代表的なところを押さえておきましょう。

  • この記事を書いた人

エコおじい

プラント業界一筋のエンジニアです。「工業技術をどこよりも分かりやすく解説する」をテーマに2017年からブログ、Youtubeで情報発信をしています。保有資格はエネルギー管理士と電験三種です。

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