配管の工程図の話になると必ず出てくる言葉にPIDがあります。P&IDとも呼ばれますが、工場内の配管図を表すものです。
一方でPFDという図面もあります。P&IDとPFDの目的と、記載内容の違いについて解説したいと思います。
こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらもどうぞ。
P&IDとは
正式名称はPiping and Instrumentation flow Diagramと言い、配管計装図とも呼ばれます。
目的を端的に説明するならば、 P&IDはプロセスの流れや制御の経路を理解するために使用されるものです。
そのためP&IDには、
- 各装置の番号
- 装置同士を繋ぐ配管と方向
- 配管サイズ、規格
- 制御の入出力とその番号
- 自動/手動バルブとその番号
- 安全保護のためのシステム
などが記載され、場合によってはユーティリティも書かれます。
エンジニアリング担当者はプラントや工程の全体像を考えながら、P&IDを作成していきます。プラント運転者はP&IDを見て、現場プロセスの場所や操作をイメージすることができ、運転方法や保守方法を検討することができます。
初めて勉強する人にとっては、無機質でわかりにくい?と感じてしまうかもしれませんが、製品生産工程を理解した上で上流からゆっくりと図面を追っていくと、何が行われているかイメージできるようになります
P&IDはその可視性の良さから、図面がほぼそのままDCS制御の画面に使われることも多いです。
【自動制御】DCSとは何か、メリット・デメリットについて解説します
続きを見る
以下の動画に、P&IDについてわかりやすく説明があったのでご紹介します。英語ですが、イラストを見るだけでも内容はお分かりいただけると思います。
なおP&IDに統一規格はないようです。
ISAやJIS規格に用いられる記号が使われるので大体似てはいますが、企業独自の記載方法が採用されていることもあり、図面横などにある凡例を最初に確認しておくのがよいでしょう。
図面作成にはMicrosoft社のVisioや、CADで有名なAutodesk社のAutoCAD P&IDなど商用ベースのソフトがありますので、複雑な図面を書く必要がある場合には、専用ソフトを使用した方が良いでしょう。
PFDとは
PFDは、Process Flow Diagramの略で、製品の原料から製品になるまでのプロセスが見えるようになった図です。プロセスの全体像をよりシンプルに理解するために使われます。
そのためP&ID図にあるような、細かなバルブや制御の詳細、装置の内部構造などは記載されず、直感的にわかりやすくするため記号ではなくイラストや写真が使われることもあります。
PFDはプラントエジニアリング側ではなく、プラント運転者が全体を理解するために使用されるものです。
設備業者の方やエンジニアリング業界の方が、業務で使われることは少ないかと思います。こうした側面から、各装置の運転条件が記載されることもあります。
以下の動画がPFDについて解説しています。こちらも英語ですが、短時間でイラスト多めなのでわかりやすいかと思います。
PFDの書き方手順を紹介した動画もありました。初めて書かれる方には参考になるかと思います。
まとめ
- P&IDは1枚で装置、配管、制御がわかる図。
- PFDはプロセスの流れを理解するための図。
- 見た目は似ているが、目的が違う。
よりシンプルなものがPFDと思っておいていただければよいです。
またP&ID作成は慣れないと大変かと思いますが、上記の目的を意識した上で、抜け漏れなく記載することが重要です。