止まっているモーターを動かすときに流れる始動電流は、通常運転時よりも負荷が大きいことが知られています。
そのため大型の電動機では、配線設備や遮断器などを過大にしないため、始動電流を小さくするための工夫がされています。今回はそのうちの、リアクトル始動法について解説したいと思います。
リアクトル始動法とは
リアクトル始動法は、比較的大型の電動機に採用される始動方式です。
リアクトルとは、コイルを利用した受動素子の名称で、リアクタンス(reactance、交流回路の電流の流れにくさ)を生じさせる機器を指す言葉です。
電動機の始動時に、リアクトルを経由した回路に電流が流れることで、始動電流を抑えることができます。以下の図は、三相誘導電動機の場合を表しています。
現場で見る多くの電動機で使用されている、スターデルタ始動法については、過去の記事でまとめていますので、こちらもご覧ください。
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リアクトル始動法の特徴
全ての始動法に共通する目的ですが、始動電力が低減できることがメリットです。
またスター/デルタの切り替え時には、突発的な電流が流れる(突発電流、ショック)ことが知られていますが、リアクトル始動法では常に電圧が印加されている状態(配線が瞬間的に離れることがなく常にどこかがつながっている)を保ちます。
使用するリアクトルのタップの数値(%)によって、始動電流やトルクを調整することが可能です。しかしスターデルタと比較すると、(電流を下げた場合)起動トルクが小さい、(起動トルクを大きくした場合)始動電流の低減効果が小さい、という特徴があります。
また、他の始動方式に比べると低コストとされますが、比較的大きなスペースが必要という欠点もあります。比較的大型の電動機に用いられることが多いですが、大まかな目安としては、次のようになります。
- 11kW以下 全電圧始動(始動機は用いない)
- 11kW以上 スターデルタ始動法
- 45kW以上 リアクトル始動法
産業界で規格があるわけではなく、また始動機の対応可能な容量に幅があり(上記より低いkW数でも使用はできる)、どの形式を採用するかは使用者が任意に決めることができると言えます。
まとめ
- リアクトル始動法は始動電力を下げるために用いられる方法の一つ
- 比較的大容量の電動機に用いられる
他にもコンドルファ始動法、一時抵抗始動法と呼ばれる始動形式もありますので、興味がある方は調べてみてください。
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