ボイラーの効率を上げるために排ガスの熱を利用することは非常に重要です。
今回はボイラー効率に最も影響を与えるエコノマイザとは何かについて解説していきたいと思います。
エコノマイザとは?
エコノマイザは、ボイラーの排ガスと給水を熱交換させる熱交換器です。ボイラー給水の温度を上げることで燃料代を削減することができます。
以前は石炭炊きのボイラーが一般的だったため節炭器と呼ばれることもあります。
最新の小型貫流ボイラーの場合は、標準で設置されていることも多く、エコノマイザは設置されているのが当たり前と言ってもいいぐらい普及しています。
排ガスの排出温度を20℃下げるとボイラー効率が1%程度向上するため、省エネの観点からエコノマイザの使用は必須と言えます。
エコノマイザーを設置しているボイラーと設置していないボイラーを比較すると、ボイラー効率は3~5%程度変わる場合が多いです。
ボイラーの年間燃料代が仮に1000万円だとすると、年間省エネメリットは約50万円となるので、エコノマイザの設置費用が100万円を超えていたとしても、2~3年で投資費用が回収でき、非常に有効です。
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エコノマイザの注意点
エコノマイザの注意点としては、排ガスの熱を取りすぎて結露し、それがエコノマイザの伝熱面を腐食する低温腐食や燃料中の金属成分が要因となって発生する高温腐食があります。
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低温腐食は、特に重油などの硫黄分を含む燃料を使用したボイラーで給水温度が低い場合に発生します。
最近では低温腐食を防止するために、伝熱面がガラスでできたエコノマイザも製造されているようです。
エコノマイザを使用して、排ガスの熱を限界まで取るためにはボイラー燃料をガスに変更するなどが必要です。
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エコノマイザと空気予熱器の違い
エコノマイザは排ガスをボイラー給水と熱交換させるのに対し、空気予熱器は燃料を燃焼させるときに使用する空気と熱交換させます。
燃焼用の空気温度が上がれば、燃焼効率が向上し、不完全燃焼によるすすの発生を防止することができます。
空気予熱器の場合は、気体と気体の熱交換なので、熱伝導率が低く大型になるのが一般的です。
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まとめ
- エコノマイザは排ガスと給水を熱交換させるもの。
- 設置するだけで3~5%の省エネ効果がある。
- 空気予熱器は排ガスと燃焼空気を熱交換させるもの。
以上です。
エコノマイザは、標準で設置されている場合がほとんどですが、まれに設置されていない場合もあります。費用対効果が非常に大きいので、新規で購入される場合はエコノマイザの設置は必須と考えて良さそうです。