食品や医薬などの工場でよく利用される配管の接続様式にヘルール接続というものがあります。一般的には利用される頻度が少ないので「ヘルール」って何?という方も多いと思います。
今回の記事では、ヘルール接続とは何か、ヘルールのメリットデメリットについて書いてみたいと思います。
こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらもどうぞ。
1. ヘルールとは?
ヘルールは配管同士、または配管とバルブを接続するときの接続方式の一つです。英語のFerruleから来ておりそのままの発音で「フェルール」と呼ぶこともあります。
ヘルール配管の特徴は、取り外しが容易だという点です。ヘルールは一般的なフランジ接続やねじ込み接続とは違い、クランプという金輪で接続部同士を挟み込んで留めます。
クランプは併設されているネジ金具を回すとすぐに取り外すことが出来るので、配管やバルブを簡単にばらすことが出来ます。
このような利点からヘルール接続は主に医薬、食品、バイオなどのサニタリー分野で利用されます。サニタリー分野では配管などから発生する錆やスケールなどの不純物が製品に入ると不良品になります。
これをなくすため、ある工場では定期的に配管内洗浄を行い、異物が製品に混入しないようにマニュアル化されているところもあります。
1-1. ヘルール継手の構成
ヘルール継手は、次の4つの部品でできています。
ヘルール継手の構成(横から見た断面のイメージ)
- パイプ:ステンレスのサニタリー管(JIS G 3447 など)
- ヘルール:パイプの端に溶接する、外側がテーパー(斜面)になったつば付きの継手
- ガスケット:2つのヘルールの間に挟むシール。シリコーン・EPDM・PTFE などから、流体と温度に合わせて選ぶ
- クランプ:2つのヘルールのテーパー面を外側から抱き込む金具。ナットを締めると両側のヘルールが引き寄せられ、ガスケットが押しつぶされて密閉される
ヘルールの寸法には ISO 規格や IDF 規格などがあり、同じ呼び径でも規格が違うと組み合わせられないことがあります。既設の配管に機器をつなぐときは、規格とサイズを先に確認しましょう。
1-2. フランジ・ねじ込みとの違い
| 項目 | ヘルール | フランジ | ねじ込み |
|---|---|---|---|
| 分解 | クランプを外すだけで早い | ボルトを何本も外す | 回して外す。配管の取り回しが必要 |
| 使える圧力 | 低い(1.0MPa以下が目安) | 高圧まで規格で選べる | 小口径・低圧向け |
| 内面の段差・液だまり | 少ない | ガスケット部にすき間ができやすい | ねじ部に液がたまりやすい |
| 主な用途 | 食品・医薬・バイオ | 一般のプラント配管 | 水・空気などの小口径配管 |
2. ヘルール接続のメリット、デメリット
ヘルール接続のメリット、デメリットをいくつか列挙してみます。
2-1. メリット
- 取り外しが容易
- シールテープなどのゴミ混入リスクが低い
- 見た目がきれい
- 錆にくい
ヘルール接続では、ねじ込み接続のように接続部にシールテープを利用しないため、工事後にゴミが混入するリスクが低いです。
また、配管自体も鏡面仕上げになっていることが多く生産ラインの見た目が美しくなります。
食品工場で工場見学を実施している所では、見た目を美しくするためにサニタリー配管を利用しているところもあります。
ヘルールが利用される場合は、当然配管はステンレスなので錆は発生しにくいです。
2-2. デメリット
- 価格が高い
- 組み付けやガスケットの状態で漏れが出やすい
- 使える圧力が低い(一般に1.0MPa以下)
デメリットとしては、販売量が他の接続形式に比べて少なく、仕様としては特殊になるため価格も高価になります。
また、ヘルールの芯がずれたままクランプを締めたり、ガスケットが劣化・変形していたりすると、そこから漏れが起こります。分解・洗浄のたびにガスケットの状態を確かめ、定期的に交換することが必要です。毒性や可燃性の高い流体を扱う配管では、漏れたときの影響が大きいため、フランジや溶接で接続するのが一般的です。
使える圧力にも上限があります。たとえば大阪サニタリーの ISO 規格クランプユニオンは、溶接式で使用圧力1.0MPa以下、パイプを押し広げて接合するエキスパンド式で0.2MPa以下とされています。高圧の配管には向かないので、実際の上限はサイズ・クランプの種類・ガスケットの材質・温度ごとにメーカーの仕様で確認しましょう。
3. まとめ
ヘルール接続は、あまり利用される頻度は多くないですが、サニタリー分野では全てヘルール接続にすることが必須になっているような工場もあります。
接続をヘルールにするという指定があった場合は、他の機器を選ぶ際にもサニタリー分野で利用可能か考えながら機器選定を行わなければいけません。
間違えないように注意しましょう。




