ボイラー

【ボイラー】水管ボイラーについて詳しく解説!小型貫流ボイラーとの関係は?

エネルギー管理士の勉強をしていると、「丸ボイラー」と「水管ボイラー」という言葉が出てきます。

この記事では水管ボイラーの特徴と種類について解説します。

こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらも合わせてご覧ください。

水管ボイラーとは

多くの現場で使われている小型貫流ボイラーは、水管ボイラーと呼ばれる分類の中の1つです。

ボイラーについては大きく2つの種類に大別されます。大きな容器の中に入った水を蒸発させる丸ボイラーと、細い配管の中に通る水を加熱する水管ボイラーです。

水管ボイラーの歴史は長く、1800年代前半に最初の水管ボイラーが実用化されたそうです。

水管ボイラーと貫流ボイラーを別のものとして説明している資料もありますが、大枠としては同じと考えてよいでしょう。

水管ボイラーの特徴

水管ボイラーは、蒸発管と呼ばれる複数の配管内の水をバーナーで加熱する構造をしています。

炉筒煙管ボイラーなどの丸ボイラーと比べると、一般的に以下のようなメリット・デメリットがあります。

  • 多くの水管がある構造で、水量に対して伝熱面積が大きいため、立ち上げ時間が早い。
  • ボイラー内の水容量を小さく設計できるため、より高圧の蒸気を作ることができる。
  • 保有水量が小さいため、丸ボイラーと比べると蒸気使用量が大きく変動すると圧力変化が起きやすい(負荷変動に弱い)。
  • 細い水管を加熱するため、丸ボイラーと比べると、スケールやスラッジなど不純物の析出の影響を受けやすい(効率低下や水管閉塞のトラブル)。

小型貫流ボイラーや炉筒煙管ボイラーについては、過去にも記事を書いているので載せておきます。

【ボイラー】小型貫流ボイラーの5つのメリットとは?

続きを見る

【ボイラー】炉筒煙管ボイラーのメリット、デメリットとは?

続きを見る

水管ボイラーの種類

水管ボイラーには3つの種類があります。

自然循環ボイラー

2つのドラム(水が入る容器)を持つボイラーで、上部に汽水ドラム、下部に水ドラムがあり、両者は複数の水管でつながっています。

水管を加熱する(蒸発管と呼びます)ことで、水が加熱され気化して生まれた蒸気が、汽水ドラム上部から蒸気使用先へと送られていきます。

汽水ドラム内で熱を失った低温の水は、高温の水よりも比重が大きいため、自然と水管を通って下に落ちていきます。蒸発管に到達し、再びバーナーで加熱されると上の方に浮き上がっていきます。

丸ボイラーよりもドラムサイズを小さくすることができます。最大で15MPa程度までは蒸気圧力を上げられるそうです。中規模発電所で使用されています。

強制循環ボイラー

自然循環ボイラーと似た構造で、汽水ドラム、水ドラムがありますが加えて、汽水ドラムと蒸発管をつなぐ場所に循環ポンプが設置されています。

水は高温高圧になると密度差が小さくなり、自然循環方式ではうまく循環しなくなるという問題があります。そのためポンプで強制的に循環させる方式が取られるようになりました。

この方式では20MPa程度まで使用することができます。中小規模の発電所で使われています。

貫流ボイラー

貫流という字の如く、下から上に水が貫いて流れる構造をしており、循環ボイラーのようなドラムがないのが特徴です。容積の大きなドラムを設けないということは、耐圧を上げることにもなります。

大規模な発電所で使われており、超臨界圧ボイラーはとしても使用されています。

工場や事業所の規模で使用される小型貫流ボイラーは、比較的低圧かとは思いますが、貫流ボイラーを小型化したものです。容積を削れるので小型化でき、複数大設置することが容易です。

詳しくは過去の記事でも解説していますので、ご覧ください。

【ボイラー】小型貫流ボイラーの5つのメリットとは?

続きを見る

まとめ

  • 水管ボイラーとは細い水管を加熱するタイプのボイラーのこと。
  • 貫流ボイラーは水管ボイラーの一つで、小型化・高圧化に適している。
  • 使用圧力によって自然循環、強制循環、貫流などの方式がある。

水管ボイラーは大きなくくりの一つですが、最近では最も多く導入されている種類といえます。

ボイラー

2023/12/31

【ボイラー】主灰と飛灰の違いとは?

ボイラーや焼却炉などで投入物が燃えた後に出てくる灰は、大きく分けて主灰(しゅばい)と飛灰(ひばい)があります。 この記事では主灰と飛灰の違いについて解説します。 主灰と飛灰の違い 主灰:焼却炉の炉底に落下した灰でボトムアッシュ(bottom ash)とも呼ばれる。 飛灰:風に飛ばされて集塵機などで採取される灰でフライアッシュ(fly ash)とも呼ばれる。 主灰と飛灰の違いを図で表すと次のようになります。 ごみ焼却施設のボイラーを例にとると、主灰はゴミが燃え切った後に最後に底から出てくる灰で、ごみ中に含ま ...

ReadMore

ボイラー

2023/12/24

【ボイラー】空気予熱器とは。目的や方式について解説

ボイラー効率を向上させる機器の一つに空気予熱器があります。 今回は空気予熱器とは何かについて解説したいと思います。こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらも合わせてご覧ください。 空気予熱器とは 空気予熱器はボイラーに送る燃焼用の空気を加熱する熱交換器のことを言います。 似たような役割をする機器にエコノマイザがありますが、エコノマイザはボイラー給水と排ガスを熱交換させるのに対して、空気予熱器は燃焼用の空気との熱交換を行います。 熱源はエコノマイザと同様に排ガスの事もあれば、プ ...

ReadMore

ボイラー

2022/9/2

【ボイラー】連続ブローはなぜ必要?缶底ブローとは何が違う?

ボイラーの運転動作の一つに連続ブローというものがあります。普段、ボイラーを扱う方にとっては当たり前のことですが、初めて見た方は何のために連続ブローを行っているのか分からないこともあるかと思います。 今回は、ボイラーの連続ブローとは何か、また缶底ブローとの違いについて解説したいと思います。 連続ブローとは 連続ブローとは、ボイラー缶水で不純物が濃縮するのを防止するために缶水の一部を連続的に外部に排出することを言います。一般的には電磁弁や電動弁などの自動弁を一定周期ごとに開閉させることでブロー量を制御していま ...

ReadMore

ボイラー

2022/9/3

【ボイラー】脱気器とは何か?原理や設置上の注意点について

高圧の蒸気を発生させるボイラーを使用する場合、必ずと言っていいほど脱気器がついています。 今回は、脱気器とは何か?について解説したいと思います。 脱気器とは 脱気器はデアレーター(Dearator)とも呼ばれ、給水中に存在する酸素や二酸化炭素などの気体を除去するための装置です。 薬品を添加して脱気を行う機器も脱気器と呼びますが、大型の場合は蒸気で加熱することで脱気を行う場合が多いです。脱気を行わずにボイラーに給水を行うと、水中の溶存酸素によりボイラー本体や配管の腐食が進み、機器の寿命を著しく縮めてしまいま ...

ReadMore

ボイラー

2022/9/3

【ボイラー】スートブロワって何?その役割は?

ボイラーの運転ではしばしば、スートブロワによって灰を除去する煤吹き作業を行います。スートブロワが上手く作動しないとボイラーの水管や過熱管の寿命に大きな悪影響を与えます。 今回はスートブロワとは何なのか、スートブロワの目的や注意点について解説したいと思います。 スートブロワとは? スートブロワは煤吹きというボイラーに定期的に行うメンテナンスを行う装置です。 ボイラーの蒸発管や過熱器、エコノマイザー(節炭器)などの燃料や排ガスを使う熱交換器では伝熱面に煤や塵が付着します。通常はこれらを定期的に蒸気や圧縮空気を ...

ReadMore







  • この記事を書いた人

エコおじい

プラントエンジニアです。「工業技術をどこよりも分かりやすく解説する」をテーマに2017年からブログ、Youtubeで情報発信をしています。現在、5つのブログを運営中。毎月収益レポートを公開しています。是非、Twitterのフォローお願いします。



効率的に技術系資格取得を目指す方必見!当サイトおすすめの通信講座

最短で資格を取得するためには、いかに効率よく学習するかが最も重要です。

参考書だけでは分かりにくいという方には、全て解説動画で学べるSATの通信講座がおすすめです。日々の通勤時間など隙間時間を利用して無理なく効率的に学習を進めることが出来ます。

超シンプルで分かりやすいSAT『エネルギー管理士』

エネルギー管理士の通信講座です。イラストを多用したシンプルで分かりやすいテキストと動画がセットになっています。

他社と比較すると価格もお手頃で、特に熱力学などを学んだことのない初学者におすすめの通信講座です。

熱分野レビュー 電気分野レビュー 他社との比較

エネルギー管理士以外にも電験や衛生管理者など25の資格の通信講座を展開しています。

最短で電験取得を目指すならSAT『電気主任技術者講座』

イメージしにくい交流回路についても多様なイラストと解説動画で詳しく解説してくれます。独学ではなかなか勉強が進まないという方に特におすすめの講座です。電気について詳しく学べるので実務で電気を使うという方には最適な教材です。

電験三種レビュー 他社との比較

技術系資格の最高峰SAT『技術士合格講座』

論文添削やZOOMマンツーマン指導が付いており、面接対策もWeb上で行うことが出来ます。また、テキストは毎年改定されているので常に最新の教材で勉強することが出来ます。

-ボイラー

エネ管.comをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む

© 2024 エネ管.com Powered by AFFINGER5