タービン

【タービン】抽気タービンの出力計算方法は?

発電所や大型プラントなどで良く利用されているタービンに抽気タービンがあります。

復水タービンの場合は、全ての蒸気が復水器に入るので出力の計算も分かりやすいですが、抽気タービンになるとどうやって出力を決めればいいのかわからないという方もいるかと思います。

そこで、今回は抽気タービンを使用した場合の出力計算方法について解説したいと思います。

抽気タービンとは

抽気タービンは、駆動蒸気の全てを復水器に回さずにタービン後段で一部取り出すように作られたタービンです。

取り出した低圧の蒸気はプロセスの加熱用に利用したり、ボイラー給水の加熱に利用することが一般的です。抽気を行うことですべて復水器に回す場合に比べ、廃熱を減らし、全体の熱効率を上げることが出来ます。

発電所などでは、少しでも燃料の熱を有効に利用するために大型の抽気タービンが用いられることが一般的ですが、蒸気の抜き出しが多い分、取り出せる電気の出力計算も複雑になります。

抽気タービンの出力計算方法

抽気タービンの出力は次の流れで計算できます。

  1. 入口蒸気の圧力、温度を決める。
  2. 抽気、排気の圧力を決める。
  3. 機械的な効率から有効熱落差を計算する(抽気、排気の温度が決める)。
  4. 有効熱落差の合計に発電機の効率をかける。

これで大体の出力を計算することが出来ます。

入口蒸気の圧力、温度を決める

まず、供給する蒸気の圧力、温度を決めます。

既に入れる場所が決まっている場合は問題ないですが、新規でプラントを設計する場合は新たに決める必要があります。

タービンの場合、蒸気の圧力、温度が高ければ高いほど効率は上がりますが、材質や過去の実績、ボイラーの能力から自然と決められるのが一般的です。

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抽気、排気の圧力を決める

次に抽気、排気の圧力を決めます。

抽気は出来るだけ低圧で取り出した方が出力が上がりますが、被加熱物の温度などの制約条件があるので、それらを見ながら決定します。

排気の圧力は復水器の能力や冷却源によって決まりますが、一般的には40~50℃の飽和圧力までの真空で計算することが多いです。

有効熱落差を計算する

タービンの場合は、理論上、外部との熱のやり取りがない断熱変化なので等エントロピー変化になります。

但し、実際には全てが仕事に使われるわけではなく、一部が仕事に変換されずに排出されます。どの程度を仕事として出力できるかを示す値をタービンの内部効率と呼び、タービンの構造によって変わりますが0.8~0.9あたりで計算をします。

実際に仕事として使用される熱落差は「理論熱落差×内部効率」で計算することが出来ます。

有効熱落差=理論熱落差×内部効率(0.8~0.9)

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有効熱落差の合計に発電機の効率をかける

抽気、排気それぞれの有効熱落差が求まれば、あとは発電機の効率をかけます。

発電機自体もすべてが出力になるわけではなく、抵抗や渦電流損などにより、一部は仕事に変換できません。

これを発電機効率といい、大体0.95~0.98あたりになる場合が多いです。発電機効率も内部効率と同様に過去の実績からタービンメーカーの仕様書に記載されていることが多いです。

実際にタービンの選定を行う場合は、湿り度なども考慮する必要がありますが、出力計算としては関係ないので今回は省きます。

実際熱落差=有効熱落差×発電機効率(0.95~0.98)

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抽気タービンの出力を実際に計算

次のような条件で実際に出力を計算したいと思います。

入口蒸気:8.0MPa 500℃ 50t/h、抽気蒸気:1.5MPa 10t/h、排気蒸気:0.1MPa 40t/h(それぞれ絶対圧表記)

タービン内部効率:0.8、発電機効率:0.98

抽気蒸気、排気蒸気の温度、タービン全体の出力を計算する。

まずは抽気蒸気の温度から求めます。

ここでは、蒸気の物性(エンタルピー、エントロピー、温度)などを調べるためにモリエ線図を利用します。モリエ線図は横軸にエントロピーs、縦軸に温度tを取ったグラフです。

入口過熱蒸気、8.0MPaG、500℃のエンタルピーは蒸気表より3398kJ/kgになります。これをモリエ線図にプロットすると次のようになります。

タービンは等エントロピー変化なので、このまま下にずらし、1.5MPaと交わる点を探します。すると、次のように1.5MPa、2950kJ/kgの点で交わりました(モリエ線図の使用上、若干のずれはあります)。

これにより、抽気蒸気の単位蒸気量当たりの理論熱落差は次の式で表せます。

$$3398-2950=448kJ/kg$$

ただ、実際には全てが仕事に変換されるわけではないので内部効率をかけると、実際熱落差に変換されます。

$$448×0.8=358kJ/kg$$

$$3398-358=3040kJ/kg$$

よって、実際の抽気蒸気のエンタルピーは3040kJ/kgということになります。

この点をプロットすると、少し右上にずれたところになり、温度は約310℃だと分かります。

同様に排気についてもやってみます。

排気蒸気の圧力は0.1MPaなので、先ほどの点から下に下ろしていき、交わる点を探します(利用したモリエ線図が飽和曲線より下が省略されているので、大体の値を取りました。)。

ここでは、エンタルピー2300kJ/kgのところで交わったとします。

理論熱落差は次の式で表せます。

$$3398-2300=1098kJ/kg$$

実際熱落差はこれに内部効率0.8をかけるので

$$1098×0.8=878kJ/kg$$

よって実際のエンタルピーは次のようになります。

$$3398-878=2520kJ/kg$$

この点をプロットして、それぞれを結ぶと、次のようになります。

飽和蒸気曲線よりも下にあるので0.1MPaの飽和温度で一部水分が混じる乾き度が97%程度の蒸気であるということが分かります。

これらをつなぐと二つの三角形が現れます。

タービンの出力計算でよく出てくる三角形ですね。最後に出力を計算します。

実際熱落差をまとめると

  • 抽気:358kJ/kg 10t/h
  • 排気:878kJ/kg 40t/h

よって熱落差の合計は

$$(358×10)+(878×40)=38700MJ/h$$

発電効率をかけて、出力の単位をW(ワット)に変換します。

$$38700×0.98=37926MJ/h$$

$$37926÷3600=10.5MW$$

よって出力は10.5MWということになります。

モリエ線図を利用するというアナログな方法を取ったので、やり方によって若干数値は変わるかと思います。実際には蒸気表を用いたプログラムで計算するのが一般的です。

まとめ

  • 抽気タービンの出力は蒸気の圧力、温度で決まる。
  • 理論熱落差に内部効率と発電機効率をかける。
  • 実際には湿り度や流量なども考慮する必要がある。

一見、難しそうに見えるタービンの効率計算ですが、意味を理解するととてもシンプルだと感じていただけたのではないでしょうか?

原理を理解していると、どうすれば効率が上がるのかが感覚的に分かるので便利です。是非、一度自分で計算してみてください。

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