配管を選ぶとき、鉄でいいのかステンレスがいいのか迷うことってありますよね?
錆対策ということで何も考えず、すべてステンレスで施工できればいいですが、コストが大幅に上がるので現実的には難しいです。今回は、鉄とステンレスの使い分けについて比較してみたいと思います。
どちらの材質が良いのか迷っている方の参考にしていただければと思います。
1. ステンレス配管と鉄配管の特徴は?
まず、ステンレスと鉄で何が違うのか、それぞれの特徴について見てみたいと思います。
1-1. ステンレスのコストは鉄の3倍
もっとも大きな違いは配管そのもののコストです。
ステンレスは鉄とクロムの合金なので、鉄配管よりもコストが大幅に上がります。数mの距離ならあまり大きな差にはなりませんが、工場全体となると数百mにもなるので大幅なイニシャルコストの増加につながります。
コストが大幅に上がっても問題がないか確認が必要です。
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1-2. ステンレスは熱膨張しやすく施工が難しい
ステンレスは鉄よりも熱膨張率が大きいため、U字配管を設けるなど膨張を吸収させるための工夫が必要です。
また、ステンレスは、鉄に比べて粘性が大きく、ボルトで締め付ける際に無理な力を加えると焼き付いて外れなくなることがよく発生します。
そのため、ステンレス配管で工事を行う場合には、経験のある業者に依頼しなければいけません。
1-3. 鉄配管はさびやすく、フィルターなどを詰まらせるリスクがある
鉄配管を選ぶ場合は、錆の問題は必ず発生します。特に、水配管などは顕著です。
錆が発生すると、フィルターやストレーナを詰まらせたり、バルブの固着を早めるリスクが上がります。そのため、定期的なストレーナーの交換など保全作業が必須になります。
数十年も使用した鉄配管の場合は、中が腐食でボロボロになり配管ごとやり替える必要がある場合もあります。また、直接製品に加水する場合などは。異物混入の原因になるので注意が必要です。
1-4. 鉄配管の種類にも注意が必要
鉄配管の場合は、種類にも注意が必要です 。
例えば、さびにくくメッキされている白ガス管やメッキされていない黒ガス管などがあり、使い方が変わって来ます。低温の水やガス場合は白ガス管、高温の流体の場合は黒ガス管になります 。
種類を間違えると、 最悪配管のやり直しが必要となるため、 検討が必要です。
1-5. ステンレスと鉄を接続する際には注意が必要
ステンレスと鉄を接続する場合、二つの金属のイオン化傾向の違いから、局部電池が形成され鉄配管の腐食が進む場合があります。
これを異種金属接触腐食といい、防止策としては絶縁パッキンを利用するなどがあります。ちなみにステンレスは銅と同じくらいのイオン化傾向のになり、鉄よりは 貴な金属になります。
2. ステンレス配管の方がいい場合
これらを考慮すると、ステンレスを利用した方がいい場合は次のような場合といえます。
- 水の配管
- 食品工場
- 流体を製品に直接利用する場合
- 見た目が重要になる設備
見た目が重要になる設備は、見学通路などが設けられている設備です。錆のないほうが見た目が美しくなるのでステンレスが利用されます。
また、食品工場の場合はただのステンレスではなく、 取り外して洗浄ができるサニタリー 配管などを利用する場合もあります。
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3. 鉄配管でも問題ない場合
逆に、鉄配管でも問題ないのは次のような場合といえます。
- 多少錆が発生しても問題ない
- イニシャルコストを抑えたい
- ストレーナなどのごみ対策を行う
鉄配管はイニシャルコストが抑えられる分、保全しやすいように機器を選定してやる必要があります。
イニシャルコストをとるか、ランニングコストをとるかといったイメージですね。
4. まとめ
- 鉄とステンレスの違いはコスト、施工方法
- 鉄配管の場合は錆の対策が必要
- 鉄配管の場合は種類に注意する
以上です。
最近は、 すべてステンレス化させる工場もありますが、やはりコストの問題から鉄配管も多く利用されます。
それぞれの違いをよく理解して、 選定間違いのないようにしましょう!