発電所の熱効率を表す値として発電端効率と送電端効率があります。
それぞれ言葉が似ているので勘違いすることも多いですが、どちらを表しているのかによって数字が大きく変わってきます。今回は発電端効率と送電端効率の違いについて解説したいと思います。
発電端と送電端の違いとは
発電端と送電端の違いは次のようになります。
- 発電端:発電機直近のこと。
- 送電端:発電機から所内負荷を経て送電を行う箇所のこと。
言葉では分かりにくいので図に表すと次のようになります。発電機によって発電された電力は発電所内の送電線によって運ばれますが、実際に外部に送電されるのは発電された電力から発電所内の負荷を引いた電力になります。
所内負荷の例として火力発電所の場合は、ボイラーに水を送るための給水ポンプ、燃焼空気を送るための通風機、復水器の冷却水を冷やすための冷却塔などがあります。
発電機の発電量と所内負荷の割合を示す値を所内率と呼び、数MWの小型発電所では10~20%程度、数十MW以上の大型発電所では数%程度になることが多いです。
発電端効率と送電端効率の違い
火力発電所全体のエネルギーの流れをイメージしながら発電端効率と送電端効率について考えてみます。
ボイラーに供給する燃料を100として、ボイラー、配管等で失うエネルギーを10、復水器で冷却水により奪われ、冷却塔で大気に捨てられるエネルギーを60と仮定すると発電機の電力は燃料100に対し30になります。この時、火力発電所の発電端効率は30%になります。
一方、発電所の所内負荷を3とすると、送電端効率は発電機の電力から所内負荷を引いた値になるので送電端効率は27%となります。それぞれを文字で表して公式として覚えると複雑に見えますが、単純に数値化をしてみるとイメージがわきやすいかと思います。
また、実際には燃料のエネルギーはJ(ジュール)、発電機の発電量はW(ワット)など、単位が混在するので変換を間違えないように注意しましょう。
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火力発電所の熱サイクルについてはこちらの記事で解説しています。
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まとめ
- 発電端は発電機直近のこと。
- 送電端は発電機から所内負荷を経て送電を行う箇所のこと。
- 送電端電力は発電した電力から所内負荷を引いた電力。
発電端と送電端は言葉が似ていて勘違いしやすいので混同しないように注意しましょう。
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