加熱が必要な機器を選ぶ際には、まず燃料を決めなければいけません。例えば、給湯器1つとっても灯油が良いのかガスが良いのか電気が良いのか迷いますよね。
そんな時に便利な考え方が熱量単価やエネルギー単価と呼ばれる指標です。今回の記事では、熱量単価の計算方法やその活用について書いていきたいと思います。
1. 熱量単価とは?
熱量単価とは、単位エネルギー当たりの値段の事です。単位でいうとJ/円やkJ/円、MJ/円などが用いられます。
燃料ごとの熱量単価が計算できれば、どの燃料を利用するのが一番安上がりなのかを数値で計算することができます。では、実際にそれぞれの燃料の熱量単価を計算してみましょう。
2. 熱量単価の計算方法
熱量単価を計算するためには次の3つの条件が必要です。
- 燃料の値段
- 燃料の発熱量
- 使用する機器の効率
それぞれ1つずつ見ていきましょう。
2-1. 燃料の値段
まずは単位量当たりの値段が必要です。ガスであれば体積であらわされるのが一般的で単位は円/m3です。灯油や重油などの液体でも同様に円/Lなどであらわされます。
電気の場合は円/kWhであらわされることが多いです。1kWhは1kWで1時間加熱したときの熱量です。kWはkJ/sなので1kWhは1時間が3600秒なので3600kJという事になります。
2-2. 燃料の発熱量
燃料にはそれぞれ保有するエネルギー(発熱量)が決められています。例えばA重油の発熱量は38.9MJ/L、LPガスの発熱量は50.06MJ/kg等です。
この時、燃料には高位発熱量と低位発熱量というものがありますが特殊な場合を除いて低位発熱量を用います。電気の場合は、特に考慮する必要はありません。
【燃料】高位発熱量と低位発熱量の違いとは
2-3. 使用する機器の効率
使用する機器の効率は、燃料のエネルギーがどれだけ加熱したいものに伝わるかを示した指標です。
例えば100のエネルギーを持つ燃料で加熱したいものに90のエネルギーが伝わったとすると機器の効率は90%になります。計算上の値段が安い燃料を利用したとしても、利用する機器の効率が悪ければ最終的には熱量単価は高くなってしまいます。
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3. 実際に計算してみよう
それでは実際に給湯器を例にして燃料の熱量単価を計算してみましょう。上の条件を式にすると次のようになります。
それぞれ2018年4月の数値を拾ってきています。
3-1. A重油
A重油の場合は値段が76円/Lで低位発熱量は38900kJ/Lです。A重油を利用した給湯器の機器効率が90%とすると
3-2. LPガス(プロパンガス)
LPガスの場合は得段が334円/kgで低位発熱量は50060kJ/kgです。上と同様給湯器の効率を90%とすると
3-3. 電気
電気の場合は値段が円/kWhなので3600kJ=20~30円になります。給湯器の効率を90%とすると
このように計算することが可能です。
4. 熱量単価を利用して光熱費を計算してみよう
機器の効率を含んだ熱量単価が分かれば光熱費などを計算で求めることが出来ます。
例えば、200Lのお風呂に40℃のお湯をためる場合を考えてみましょう。常温の水の温度が20℃だとすると40℃まで昇温させるのに必要なエネルギーは水の比熱を4.2kJ/kg℃とすると
これだけのエネルギーが必要になります。ここに熱量単価をかけてやればお風呂に1回のお湯を貯めるのに○○円かかるという事が分かります。電気で計算すると104円になります。一か月30日とするとお風呂だけで3000円程度かかることが分かります。
当然ですが水の温度が低ければ低いほど多くのエネルギーが必要になるので冬場の方がお風呂1回の値段は高くなるわけです。光熱費を削減したい人は、冬場にお風呂をやめるというのも有効な策かもしれません笑。
5. まとめ
- 熱量単価は単位エネルギー当たりの値段
- 計算には3つの条件が必要
- 光熱費などを簡単に計算することが出来る
実際には光熱費など以外も、省エネルギー対策を検討する際のメリット計算などに用いられます。熱量単価の考え方は何かと便利なので覚えておいて損はないのではないでしょうか?