ポンプのシール方式を選ぶとき、メカニカルシールとグランドパッキンのどちらにすればいいのかわからない時ってありますよね。
今回はメカニカルシールとグランドパッキンの違いについて解説してみたいと思います。
こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらもどうぞ。
メカニカルシールとグランドパッキンの違いは?
メカニカルシールとグランドパッキンは両方、内部の加圧水が外部に漏れるのを防ぐために使用します。両者とも回転する主軸がケーシングを貫通する箇所に取り付けられます。
次の動画がポンプの構造や役割について詳しく解説してあるので載せておきます。メカニカルシール、グランドパッキンに関しては6分8秒から解説が始まります。
メカニカルシールとは
メカニカルシールはグランドパッキンに比べ、構造が複雑で高価ですが、加圧水の漏れ量を極少量に抑えることができます。
ISO21049、API682ではメカニカルシールの漏れ量を5.6g/hとしています。スプリングが付いていることにより経年による増し締めも不要になります。
メカニカルシールにも構造の違いからシングル・アンバランス型、シングル・バランス型、タンデム型、ダブル型の4種類があり、一般的には最も安いシングル・アンバランス型が用いられます。
メカニカルシールの内部構造や役割について詳しい動画があったので載せておきます。
グランドパッキンとは
グランドパッキンは特殊繊維に潤滑油を染み込ませたものです。焼き付き防止のため、メカニカルシールよりも多くの液体を漏らしながら運転するのが特徴です。
グランドパッキンのポンプを屋内で使用する場合には、漏れた液をピットまで運んでいく配管を施工するなどの工夫が必要です。
また、経年によりパッキンが摩耗するので、漏れ量が多くなってきた際には増し締めが必要になります。
グランドパッキンには、標準型、ランタリング型、スロートブッシュ型というものがあり、取扱液の汚れ具合や液体の圧力によって使い分けを行います。グランドパッキンを使用し続けると、次の動画のような漏れが発生してきます。
メカニカルシールとグランドパッキンではメカニカルシールのほうが初期費用は高価になります。ただ、ランニングコストを考えるとメカニカルシールのほうが優位になることが多いので、迷ったらメカニカルシールを選定しておくのが無難と言えます。
ポンプの軸封方式にはメカニカルシールとグランドパッキン以外にもデフレクタやオイルシールというものもあります。
メカニカルシールとグランドパッキンは変更できる?
ポンプの型式にもよると思いますが、一般的にはグランドパッキンとメカニカルシールのシール方式の変更は可能です。
ほとんどの場合、グランドパッキンを使用していて漏れが多いのでメカニカルシールに変更するというパターンが多いようです。
変更するためには、部品費用以外にもポンプメーカーの作業費などがかかってくるため、特に制約がない場合は最初からメカニカルシール方式を選んでおくのがよさそうです。
まとめ
- メカニカルシールは漏れが極小、グランドパッキンは少量の漏れ
- メカニカルシールは増し締め不要、グランドパッキンは増し締めが必要
- メカニカルシールは高価、グランドパッキンは安価
メカニカルシールとグランドパッキンは、どちらも役割は同じですが性能が違います。
どちらの方式が良いかはユーザーの考え方次第ですが、一般的にはメカニカルシール方式のほうが優秀と言えます。ポンプについてもっと学びたいというこちらの本がおすすめです。