ポンプを選定するとき、ポンプが加圧する水の流量と圧力の関係が重要になります。選定したポンプが狙った圧力で流量を確保できるのかを確認する必要があります。
1. ポンプの流量と圧力の関係
ポンプの流量と圧力の関係は次のようなグラフで表すことができます。
流量が増えればポンプの出口圧力は低下し、流量が減ればポンプの出口圧力は上昇します。これは、ベルヌーイの式で説明することができます。
ベルヌーイの定理では次の式が成り立ちます。
v:配管内流速[m/s] p:圧力[Pa] ρ:密度[kg/m3] g:重力加速度[m/s2] z:鉛直方向の座標
ポンプから水へ与えるエネルギーが一定とした場合、流量が増えれば圧力が低下し、流量が減れば圧力が上昇するということが式の上からでも理解できます。
実際にはポンプは流量や圧力によってエネルギー効率が変わってくるため、ベルヌーイの式のみで流量と圧力を計算することはできません。実務では計算は行わず、ポンプの性能曲線と照らし合わせながら選定を行います。
2. ポンプの流量と圧力を調整する方法
ポンプの流量と圧力を調整するためにはポンプの出口にグローブ弁などの絞り弁を設置し、その開度を調整することで流量と圧力を調整します。
このため、ポンプを設置する場合は、入りでの圧力計と調整弁は必須になります。また、ポンプは機器自体が振動するため入出に振動を吸収するようなフレキシブルチューブを設置することも重要になります。
ボールバルブとグローブバルブの使い分けについてはこちらの記事に記載しています。
【バルブ】ボールバルブとグローブバルブの使い分けについて
ポンプを利用するとき、流量と圧力の関係が反比例にある領域では問題ありませんが、ごくまれに流量と圧力が比例関係になる状態になり、激しく振動することがあります。
この現象をサージングといい、ポンプの圧力と流量の関係が重要な要素になるトラブルです。
【ポンプ】ポンプやエンジン、送風機の「サージング」って何?
3. ポンプ効率とは?
ポンプは水などの流体に圧力を加えて遠くまで輸送するために使用します。ポンプの効率とは、ポンプに供給した動力がどの程度水の圧力エネルギーに変換されたかという指標になります。
ポンプに供給したエネルギーが全て水の圧力エネルギーに変換されることが理想です。しかし、実際にはモーターでのエネルギー損失やポンプ内部での水とインペラとの摩擦損失などがあるためすべてを変換することはできません。
ポンプの動力は大半が電力ですが、大型の場合は蒸気などの流体を用いることもあります。この場合はタービンポンプなどと呼びます。
どの使用ポイントでポンプ効率が最も高くなるかはポンプによって固有の値で、性能曲線を見ればピークポイントが分かります。
【タービン】タービン効率の考え方、熱落差ってなに?
4. まとめ
- ポンプは流量が上がれば圧力は低下する。
- 圧力と流量の関係はベルヌーイの定理で理解できる。
- 実際には計算ではなく性能曲線を用いる。
ポンプについて理解するためには、圧力と流量についてしっかり理解しておく必要があります。ポンプを利用する際は常にこの関係を頭に置いておきましょう。