ポンプの異常を検知する際に、制御盤などに設置されている電流計の電流値を利用する場合があります。しかし、電気にあまり詳しくなければポンプの電流値って何?定格電流値って何?という人も多いと思います。
今回は、電気に詳しくない方向けにポンプの電流値とは何かについて解説してみたいと思います。
こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらもどうぞ。
ポンプと電流値の関係
ポンプと電流値の関係は次の式で表すことが出来ます。
$$負荷動力P[kW]=電圧[V]×電流[A]×力率$$
負荷動力のkWは変換するとkJ/sで単位時間当たりの仕事量を表します。つまり、電圧、力率が一定で負荷が変動すれば電流値が変動することになります。
力率は「電力を有効に使える割合」で機器によって決められています。
ポンプの場合の負荷とは、圧送する流体の流量や粘度に依存します。流量が多い、または粘度が大きければ負荷が大きくなり、流量が少ない、または粘度が小さければ負荷が小さくなります。
ポンプが回転する仕組みについては次の動画が非常にわかりやすいので参考にしてください。
ポンプの電流値で何が分かる?
ポンプの電流値を見れば、ポンプの負荷以外にも異常を検知することが出来ます。
代表的なポンプの異常に次の2つがあります。
- 電流値が小さい・・・空転・エア噛み
- 電流値が大きい・・・ごみ噛み
電流値が定格電流に対してあまりに小さい場合は、ポンプが空転している可能性があります。ポンプが空転すると内部での摩擦熱が大きくなり軸受け部などが故障するリスクがあります。
また、電流値が著しく大きい場合は、ごみ噛みなどのリスクがあります。過電流の状態が続くと電気系統の発熱が大きくなりモーターが故障するリスクがあります。
実際には一定の過電流が流れると自動的にポンプが停止するようなサーマルリレーなどの回路が組まれていることが多いです。
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ポンプの定格電流とは
ポンプを購入した際には定格電流値というものが指定されています。運転時の電流値が大きいか小さいかは、定格電流値と比較することになります。
ポンプの定格電流値はポンプを定格出力の状態で運転した際に流れる電流を表しています。定格出力とはポンプを連続的に運転させても問題のない値で製品ごとに決められています。
定格電流と比べ少し大きいか小さいかはあまり問題ではありません。ただ、1/2以下になると空転している可能性が高いなどの目安になります。
また、始動時はもっとも負荷が大きく電流値が上がるので、抵抗を切り替えることで電流を抑えたりする工夫がされています。
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まとめ
ポンプの電流値は次の3つで決まります。
- 負荷動力[kW]
- 電圧[V]
- 力率
そして、ポンプの電流値を定格電流値と比較することで、ポンプ事態に異常がないかを判断する目安になります。ポンプの保全を行う際に必ず電流値を記入する欄があるのはこのためですね。