メーカーに機器の選定を依頼した後、提出される書類の1つとして見積仕様書があります。
この記事では、見積仕様書とは何かについて解説します。
見積仕様書とは
見積仕様書とはプラントメーカーの発行する購買仕様書に対して、メーカー側が選定した機器の仕様を表す資料です。主に金額の書かれた見積書と合わせて提出されるのが一般的です。
購買仕様書の発行から機器製作開始までの全体の流れを図に表すと次のようになります。
プラントメーカーの設計がプラントの要求性能を満たすために必要な機器の仕様を購買仕様書に記載して、メーカーはそれに対し、実際の機器の仕様や参考図面を作成します。
見積仕様書は、見積書の金額と合わせて、購買仕様書の要求に対してどこまでを対応するのかを示す資料になります。
見積仕様書に記載する内容はメーカーによって変わりますが、主に次のような項目が含まれています。
- 機器の仕様、荷重条件
- 能力計算書
- 保証条件
- 参考図面
- 予備品、オプションの有無
- デビエーションリスト
メーカーにとって標準品か特注品かによって提出可能な資料も大きく変わります。見積仕様書を提出したからと言って確実に受注できるわけではないので、どこまで工数をかけて作成するかはメーカーによって分かれます。標準的な製品であれば取扱説明書や詳細図面等がありますが、特注品の場合は詳細設計を進めないと分からないことが多くあるからです。
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見積仕様書の目的
見積仕様書を作成する目的は次のようになります。
仕様のすり合わせ
まず、最も重要なことは仕様内容のすり合わせです。
購買仕様書に記載する仕様はあくまでプラントメーカーが計算等により想定した数値になるので、その仕様からどのような機器を設計するかはメーカー次第となります。
購買仕様書の数値に対し、能力的にどの程度の余裕を見るのか、また材質を指定された場合は、どの範囲まで反映させるのかなど、機器の金額に関わる箇所は見積仕様書の段階で詰めておく必要があります。
所掌範囲の明確化
見積仕様書では標準としてガスケットやバルブなどの付属品がどこまで金額に含まれているのか明記されます。そのため、購買仕様書を作成した側が想定している機器が見積に含まれているのか、所掌範囲を確認する必要があります。
機器によってはメーカーが購入するよりも、購入量の多いプラントメーカーが購入し、部品を支給する方が安いこともあるため、全てを含めてもらえばいいと言う訳ではなく、過去の前例を見ながら協議が必要です。
また、契約後に見積仕様書に記載のないものを追加すると、追加費用が発生しするため、契約前に認識の違いがないように注意が必要です。
金額の合意
見積仕様書の内容で合意がとれれば、それが事前に設定した予算の範囲内に収まるか検討し、金額交渉を行います。
金額が大幅にオーバーする場合は所掌範囲の変更や仕様の見直しなどが行われ、何度か改訂が行われるのが一般的です。金額の交渉を行うためには、まず仕様を確定させる必要があります。
まとめ
- 見積仕様書とは購買仕様書に対する回答として提出する仕様を示した書類
- 見積仕様書により仕様のすり合わせや所掌範囲の明確化を行う。
- 双方が合意できるまで複数回やり取りが行われる。
プラント業界では多くの仕様書があり、それぞれの目的が違うので混乱しがちです。
見積仕様書で何を確認すればトラブルが減るのか、目的を考えながら対応していきましょう。