電気設備の選定をしないといけない時や、現場設備の点検などの際「VAとWってどっちも同じ単位じゃないの?」と思われた方も少なくないはず。
今回は、VAとWの違いについて解説したいと思います。
VA(ボルトアンペア)とは
VAとは、交流回路において皮相電力Sのことを表す単位です。表記の通り、電圧(V)と電流(A)の積を表しています。
電源から供給される電圧と電流を掛け合わせることで計算できます。英語ではapparent power、つまり見かけの電力を意味します。
W(ワット)とは
Wとは、交流回路において有効電力を表す数値の単位です。有効電力とは、実際に負荷として消費される電力を指します。
電力(W)はで電圧(V)と電流(A)を掛け合わせた積として覚えている方が多いと思いますが、この式が成り立つのは直流回路の場合です。交流の場合には、力率cosθを掛け合わせて計算されます。
下式では電力P、電圧V、電力Iとして表記しています。
次に、なぜ有効電力と呼ばれるか説明するために、無効電力について説明をします。
上式で力率があるということは、負荷として消費されない電力もあるということで、そちらを無効電力Qと呼びます。単位はVARが用いられます。
無効電力は電気を使用する抵抗側で消費されずに、電源に戻ってきます。
設備に必要な負荷をかけるために、必要な電力ともいえます。力率cosθは設備によって異なりますが、電力を熱に変えて使うことがメインの設備では、cosθは1(つまり100%)に近く、モーターなどの機器を使用する場合、力率85%などとなり有効電力分が減ります。
VAとWの使い分けは?
先ほどの関係式の通り、皮相電力VI(VA)の値に、力率cosθを掛けた値が電力P(W)となります。仕様書や取扱説明書を見れば基本的にどちらも数値も記載があるかと思います。
では現場ではどのように使い分けるのでしょうか。
まず皮相電力VI(VA)ですが、こちらは電気系統の機器・配線、ブレーカー設備などの選定に用いられます。
こうした電気回路には、最大負荷のとき皮相電力分の電圧・電流がかかるため、相応の設備が求められます。また電力供給側も対応した設備が必要になることを意味しています。
進相コンデンサを設置し、需要側の力率を改善することで供給側の設備コストを抑えることができるため、力率改善に対する電気料金の割引が行われています。
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次に有効電力P(W)は実際に消費する電力ですので、電気代の計算などに用います。現場の省エネの観点で用いるのは有効電力と言えます。
逆にWで表記される数値を基準に変圧器などの電気機器を選定してしまうと、消費電力が変圧器などの許容値を超え、故障の原因となるため注意が必要です。
ちなみに、皮相電力、有効・無効電力の関係は足し算ではなく、以下の関係式が成り立ちます。
まとめ
- VAは皮相電力で、設置する設備選定に用いる。
- Wは有効電力で、消費した電力の計算などに用いる。
この2点を覚えておけば、仕事で取り扱う際にも対処できるかと思います。どちらも意味が似ているので勘違いしないように注意しましょう。
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