ポンプ

【ポンプ】三相交流とは?単相の使い分けについて

多くの方にとって電気は身近だけども、知識に自信がないのではないでしょうか。

電気工事士などの有資格の方には不要ですが、今回は三相交流の理解度を上げるべく、初歩レベルの解説したいと思います。

この記事は、動画でも解説しているので動画のほうがいいというかたはこちらもどうぞ。

三相交流は何に使われる?

交流とは電圧が周期的にプラス⇄マイナスに入れ替わる電気のことを指します。家庭用の電源はAC100などと書かれていますが、100Vの単相交流が届けられています。

三相交流とは、単相交流の電気を3つ重ね合わせたものです。周期的な電圧の変化を互いに3分の1ずつずらしています。

三相交流の電気は以下のような場所に使われています。

  • 発電所の発電機
  • 高圧送電線
  • 大型の回転機の電源

なぜ三相交流が用いられる?

上記の3点で勘づかれた方もいるかもしれませんが、発電所で作られる高圧電気を効率よく輸送し消費できるというのが理由です。

まず発電ですが、タービンなどの発電装置で生み出した回転運動をそのまま発電に使うことができます。

工場などで使われる三相誘導電動機(三相モーター)には、3つのコイルが120°ずつ角度をずらして設置されています。

同じように発電機内部にも120°ずつ角度をずらしたコイルがあるため、中の回転子が回ると三相交流の電気が生み出されるという仕組みです。

送電は高圧で送ったほうが抵抗によるロスが少ないことが知られています。

また交流電気は変圧器を通すだけで電圧を変更できる(下げるだけでなく上げることも)ため、使い勝手の面から交流電気が使用されます*。

単相交流の場合、電線が2本必要で、三相交流の場合、3本必要です(交流電気の瞬時値が0になることから共通帰線が必要ない)。

同じ電圧の場合、電線の太さが流れる電流を決めるため、単相交流電線3本と三相交流を比べたとき、三相交流の方が同じ電流を3本少ない電線で送ることができ、経済的と言えます。

※ 近年、半導体で直流電気を変圧できるようになりました。直流送電技術が進歩すれば「送電は交流」が当たり前でなくなるかもしれません。

 

最後に、大型回転機に三相交流が用いられる理由ですが、1つ目に大きなパワーが得られることが理由に挙げられます。

大きな動力を必要とする大型機器には、発電所から高圧で送られてくる三相交流の電気をそのまま使うのが効率的だからです。

また回転磁界を得られる(電気を流すだけで回転を始める)ため、構造的に単純で堅牢だと言われています*。

※ 単相交流の回転機の場合、そのままでは回らない(始動トルクがかからない)ので別の原理で最初に動かしています。

ポンプの三相と単相の使い分けは?

1kW以下の小型のポンプの場合、同じ能力で三相と単相を選べる場合があります。どちらも同じ能力なので、一体どちらを選べばいいのか迷います。

三相と単相の使い分けは次のような特徴を考えて決める必要があります。

  • 単相と三相ではコンセントの接続が違う。
  • 三相の方が電線が細くなるが、小型の場合はどちらも変わらないことが多い。
  • 工場ごとに動力は三相電源を使用するなどルールがある場合がある。

まず、結論を言うと「どちらを選定してもいい」ということになります。

ただし、三相を選ぶ場合は近くに三相の電源があるかどうか、単相を選ぶ場合は単相用のコンセント差込口等があるかどうかを確認する必要があります。単相100Vの場合は家庭用のコンセントと同様なので、比較的取りやすい位置に設置されていることが多いです。

また、工場によると、動力系統はすべて三相にまとめて力率改善などを行っている場合があります。小型ポンプの場合、あまり影響はないですが一応確認しておくのがベターといえます。

まとめ

  • 三相交流は経済性から高圧送電に向いている。
  • 三相交流は発電機、回転機器の構造に関係している。
  • 小型の場合は三相、単相どちらもあるので注意する。

数式なしで、三相交流の基礎的な部分の説明をしてきました。皆さんの勉強の最初の一歩になればと思っています。

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