購買仕様書などの取合点でよく「相フランジ」という言葉を見ます。
汎用的な機器を扱う場合はあまり聞きなれない言葉ですが、認識を間違っていると工事の際に部品が足りないなどのトラブルにつながります。
今回は、相フランジとは何かについて解説したいと思います。
相フランジとは
相フランジとは特殊なフランジ規格の場合、機器と接続するために用意する相手側のフランジのことを言います。
まず、一般的なフランジ接続の場合、機器側と配管側で次のように接続されます。

フランジの間にパッキンを挟み、ボルト、ナット(BNP)で固定します。フランジ接続はねじ込み接続に比べると価格は上がりますが、気密性、耐久性、メンテナンス性の観点から最も良く使用される方法です。
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この時、機器と配管を接続するために必要な部品は次のような所掌になっていることが多いです。

機器側は配管工事側にフランジの規格(JIS10K FF、JPI150 RFなど)とサイズを伝え、配管側がそれをもとにボルト、ナット、パッキンを用意します。

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一般的な規格の場合はこの方法で問題ありません。ただ、安全弁、ポンプ、送風機など、機器ごとに決められた特殊なフランジ規格の場合は、配管側でフランジを作成するのが難しくコストがかかるため、機器側にフランジを用意してもらうのが一般的です。
その場合の所掌は次のようになります。

フランジ、ボルト、ナット、パッキンを全て機器と一緒に納入してもらいます。この時、接続用の相手側フランジの事を相フランジと呼びます。こうすることで、配管工事の際、フランジを用意しなくても相フランジに溶接をするだけで特殊機器との接続が完了します。
特殊フランジの例ですが、安全弁の場合は独自にJIS B 8210:2017という規格のフランジを使用します。
⇒ JIS B 8210:2017 安全弁(外部リンク)
相フランジと組フランジの違い
相フランジと似た言葉で組フランジというものがあります。
これは、次のように相フランジ、ボルト、ナット、パッキンを組み合わせた状態の物を言います。
単品の場合は相フランジ、セットの場合は組フランジというイメージですね。ただ「組フランジ」という言葉が業界の共通語というわけでもないようなので、全てセットでほしい場合は「相フランジ(ボルト、ナット、パッキンを含む)」などお互いの認識の違いがないように注意する必要があります。
まとめ
- 相フランジは特殊機器を接続するための相手側のフランジ
- 組フランジは相フランジにボルト、ナット、パッキンを含めたもの
- 全てほしい場合は相フランジにボルト、ナット、パッキンを含んでもらう
仕様書は専門用語が並ぶので、最初は何を意味するのか分からないことが多いですが、是非ひとつひとつ意味を理解していきましょう。
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