【タービン】動翼、静翼の役割は?わかりやすく解説してみた
タービンについて勉強するとき、「動翼」と「静翼」という言葉が出てくるかと思います。 今回は動翼と静翼の役割について、非タービンエンジニア向けにどこよりもわかりやすく解説したいと思います。 動翼と静翼とは タービンというと羽のついた回転体が何枚も中に入っていて、蒸気やガスの衝撃力で回転する、といったイメージをもたれているかと思います。 実はタービン内で回転する羽根には回転する部品と、固定されている部品があります。それらに動翼、静翼という名前がつけられています。 動翼はローターとも呼ばれ、タービンの軸に固定さ ...
【温度センサー】ダブルエレメントとは?メリットデメリットについて
温度センサーを選ぼうとするときに「ダブルエレメント」という言葉を聞いたことがありますか? ダブルエレメントタイプはセンサーから取得した値を複数の信号として入出力する場合には非常に便利です。 今回はダブルエレメントの特徴とメリットについて解説します。 ダブルエレメントとは エレメントとは光学素子のことを意味しますが、温度センサーにおいては感温部の部品を指します。 通常のセンサーは1機器で1箇所の温度を測定します(シングルエレメントと呼ばれます)が、ダブルエレメント型はその名の通り2箇所の測定ができます。 リ ...
【流量計】超音波式と電磁式の違いって何?
流量計を設置しようと検討する際、流量計にはいくつかの計測原理があることに気づかれると思います。 そして「結局どれが良いのだろう?」という疑問を持たれますよね? 配管内の流路を邪魔しないタイプの流量計を調べると、超音波流量計と電磁流量計が主に出てきます。この2つ、どんな違いがあるのでしょうか。 今回は、流量計の超音波式と電磁式の違いについて解説してみたいと思います。 超音波流量計とは 超音波とは2万Hz以上の人には聞こえない周波数の音のことを指します。実際にこれより低い周波数も流量計には使われているようです ...
【流量計】流量計を設置する5つのメリットとは?
熱交換器などの設備を新設するときに、流量計を設置するかどうか迷うことってありますよね? 流量計は価格もそれなりにするので、イニシャルコストを下げるために省かれることも多いです。また、設置をしてもすぐに効果が表れるわけではないというのも事実です。 そこで、今回は設備に流量計を設置するメリットについて解説してみたいと思います。今後の省エネルギーのために是非、流量計の設備への設置を検討してみてください。 流量計を設置するメリット 流量計を設置することによるメリットは次の5つです。 機器の異常が分かる 流量計を設 ...
【流量計】蒸気の乾き度計の原理と種類についてまとめてみた
加熱のためのユーティリティとして蒸気を使われている現場は多いかと思います。蒸気には「乾き度(dryness)」という指標があるのはご存知ですか? 今回は乾き度とは何か説明します。また、複数ある乾き度計の測定原理についてまとめてみました。 乾き度とは ボイラーで発生させた蒸気は、100%が水の気体というわけではありません。 配管からの放熱で、熱エネルギー損失をしているため上記の一部が液体の水(実際には細かな水滴かと思われます)になっています。 蒸気のうち何%が気体かを表す指標として、乾き度という言葉が用いら ...
【ポンプ】三相交流とは?単相の使い分けについて
多くの方にとって電気は身近だけども、知識に自信がないのではないでしょうか。 電気工事士などの有資格の方には不要ですが、今回は三相交流の理解度を上げるべく、初歩レベルの解説したいと思います。 この記事は、動画でも解説しているので動画のほうがいいというかたはこちらもどうぞ。 三相交流は何に使われる? 交流とは電圧が周期的にプラス⇄マイナスに入れ替わる電気のことを指します。家庭用の電源はAC100などと書かれていますが、100Vの単相交流が届けられています。 三相交流とは、単相交流の電気を3つ重ね合わせたもので ...
【ポンプ】吐出圧力が低下するのはなぜ?現象と原因についてまとめてみた
ものづくりの現場において、原料・製品・ユーティリティなどを送るために使われる回転機は、生産の要と言えます。 トラブル時にはメーカーに来てもらうというのが一番ですが、人手不足の時代ですから、すぐに来てもらえるとは限りません。トラブルの推定原因を現場で特定することが、早期の問題解決につながります。 ポンプのトラブルにはいくつかの種類が考えられますが今回は「圧力が上がらない」にフォーカスして解説していきます。 細かな部品や修理方法はメーカーや修理業者のサイトに譲るとして、物理現象の解説と、考えられる調査・対応策 ...
【ポンプ】スターデルタ始動法の特徴とは?
回転機を動かす制御盤の中を見たときに、動力回路として大きな部品がいくつも設置されているのを見たことあるでしょうか。 それは回転機用のスターデルタ(Y-Δ)切り替え用の回路かもしれません。 この記事ではスターデルタ(Y-Δ)回路の特徴や使用する理由について解説してみたいと思います。 動画でも解説しているので動画のほうがいいという方はこちらもどうぞ。 スターデルタ始動法とは あるものが止まっている状態で動かすときに必要な力は、動いている状態よりも大きいことが知られています。回転機の軸を回す場合においても、始動 ...
【ポンプ】回転方向が逆になる理由は?なぜ配線を変えると直るの?
新しいポンプなどの回転機器を導入した時に、回転方向をきちんと確認するかと思います。 これが逆だといろんな問題が起こるのですが、ここでは置いておきます。配線を入れ替えると正しい方向に直ることが多いと思いますが、これはなぜなんでしょうか。 今回は、配線を変えるとポンプの回転方向が逆になる理由について解説したいと思います。 ポンプが逆回転になる理由 基礎の基礎ですが、ポンプというのは流体を送り出す装置であり、外殻と内部のスクリュー(インペラーとか呼ばれます)などの部品から成り立ちます。 内部を回転させる力は、外 ...
【制御盤】リニアライザの目的とは?
制御盤を開けると中に入っている「リニアライザ」。他の配線スペースを広く取るために多くの場合、縦長の物が多いかと思います。 これがどんな役割を果たしているかご存知ですか?あまり基礎的な部分に触れたサイトがなかったので、リニアライザについてまとめてみました。 こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらもどうぞ。 リニアライザとは リニアとは直線という意味の言葉です。(リニアモーターカーは、モーターを帯状に並べ、回転運動を直線運動に変えるという意味でリニアと使われています)リニアライ ...
【ボイラー】過熱蒸気をつくる過熱器の目的、用途は?
生産現場の加熱源について勉強している方は、過熱蒸気という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。 過熱蒸気は過熱器、スーパーヒーターと呼ばれる機器を用いて作られるのですが、今回は過熱蒸気をつくる機器についての基礎を説明します。 こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらもどうぞ。 過熱器とは 物づくりの現場で使われる蒸気は、飽和温度であることが多いです。これをさらに加熱して高温にしたものが過熱蒸気で、それを作り出すための機器を一般に過熱蒸気発生装置、もしくは過熱器と呼びます ...
【制御弁】Cv値の選定方法は?基準をまとめてみた
現場で制御弁の選定を行うとき、必ず出てくるCv値。詳しい原理はよく分からなくても、仕事で使っていると慣れてくるものだと思います。ですが、Cv値の選び方はいつも迷ってしまう方が多いのではないでしょうか? 今回はCv値の選定基準と、選定間違いをしてしまった際に生じる問題をまとめました。 Cv値とは バルブは配管サイズによって内径が当然変化します。また、例えば玉型弁と仕切弁のように、バルブの内部構造は種類によって異なります。さらに世界中に多種多様なメーカーがあるわけですから何か流れる量に基準が欲しい、というわけ ...
【ポンプ】回転機選定で聞く「ラビリンスシール」って何?
回転機のシーリングを検討するときに「ラビリンスシール」って聞いたことありませんか? 回転機機の更新の時には、購入価格だけではなくメンテナンス性も考慮する必要があります。今回はラビリンスシールにどんな特徴があるのかまとめてみます。 こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらもどうぞ。 ラビリンスシールとは シールとは、エンジンやモーターなどの回転機で、熱や物理的な摩耗で劣化していく部分(軸封部分)を密封するものを指します。(同じ目的のものをパッキンと言うこともあります。ちなみに、 ...
【冷凍機】吸収式冷凍機になぜ蒸気が使われるの?
工場やビルの設備導入・更新時に、吸収式冷凍機という言葉を初めて耳にしたという人もいるのではないでしょうか。 使用するユーティリティを確認すると、「え、蒸気!?」と驚かれるかもしれません。 なぜ冷やす機器に熱い蒸気が必要なのか、解説したいと思います。 こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらもどうぞ。 吸収式冷凍機の原理 エアコン(冷房)や冷蔵庫は、ものの温度を下げるのに使用されますが、これらにはヒートポンプという技術が使われています。 この原理は、圧縮された液体が減圧時に気化 ...
【流量計】積算熱量計とは?使い道や原理について
あなた流量計について調べていたら積算熱量計というものが出てきた。どういう原理?流体の熱量を計算して何に使うんだろう? この記事では積算熱量計とは何か、その使い方について解説してみたいと思います。 積算熱量計とは 積算熱量計は熱交換器を通る流体の流量、入出の温度を測定することで通過熱量を表示することが出来る機器です。 流体の質量流量と比熱が分かれば熱容量が分かるので、そこに温度差を掛けることで通過した熱量を計算することができます。 積算熱量を計算するためには、流量計、温度計×2、演算器が必要ですがそれらがセ ...
【温度計測】放射温度計の原理、メリットデメリットは?
「製品の温度を測りたい」というときに温度センサーを検討しますが、「非接触なら放射温度計」となんとなく思っていませんか? 今回はどんな時に放射温度計を選ぶと良いのか、メリットデメリットをわかりやすく解説してみたいと思います。 放射温度計とは 温度を測る計測器にはいくつか種類があり、それぞれ原理が異なることは先の記事でもご紹介しました。 その中でも放射温度計は物体から出る赤外線を検知します。赤外線という言葉は日常でもよく耳にしますが、目に見えない波長の電磁波の一種です。 太陽光など、何もない空間である宇宙 ...
【配管】フランジ規格、ASME?JPI?違いって何?
配管改造や機器導入時に必ずでてくるフランジ規格。JISとかASMEとか言葉が出てきますが、よくわからず使っている方も多いはず。 今回はASMEとJPIの違いにフォーカスして説明します。 規格とは ものづくりには測ったり、組み立てたり、計算したりということが必要ですが、工場ごと国ごとに基準が違っては困ります。そこで国際的に、もしくは国内で標準化を図っています。 この標準のことを規格と言います。 日本で最もよく見聞きするのはJIS規格だと思いますが、これはJapanese Industrial Standar ...
【配管】ループ配管に水が上手く流れない!原因と対策は?
病院やホテルなどの大型施設では、機械室に熱交換器を設置し温水を循環させるループ方式が良く用いられています。 ループ方式は熱交換を行う場所が1か所でよく、メンテナンス性に優れた方式で循環させるには循環ポンプや膨張タンクなどの付帯設備が必要です。 設備が多い分、新たな設備の試運転を行う場合には、ポンプを回しても循環水が上手く流れないなどのトラブルが多いです。 今回は、温水のループ配管に温水が流れないという場合に考えられる原因と対策について記事にしたいと思います。 ループ配管で温水が上手く流れない原因 ループ配 ...
【温度センサー】測温抵抗体、2線式と3線式の使い分けは?
配管の中のユーティリティや、タンクの中の製品温度を知りたいとき、温度計が用いられます。 その中でも温度変化をリアルタイムに検知し電気信号に変えて出力するものが温度センサーです。 新たにセンサー設置を考えた時、温度精度から抵抗温度計を選ぶ方も多いかと思います。 それでも型式によって配線する数が違うと迷ってしまうのではないでしょうか。今回は、測温抵抗体の2線式と3線式の違いを解説します。 測温抵抗体とは 測温抵抗体とは、抵抗温度計の測温部のこと、もしくはセンサーそのものを指して言う言葉です。 金属の電気抵抗が ...
【配管】ストレーナの選び方は?メッシュ数と使い分けについて
配管中の異物(鉄配管から出るサビや流体に含まれていたゴミなど)を分離するために使われるストレーナ。現場では水、空気、ガス、蒸気など様々なユーティリティに対して使用されているのを見かけるかと思います。 語源は「〜を濾す」という意味のstrainから来ています。Y型、U型、W型など構造により呼び名が変わります。交換の際は「今までと同じものでいいか」となりがちですが、新設配管ではどのタイプが良いか分からないという方も多いかと思います。 そこで今回はストレーナ選びで重要なメッシュ数について解説したいと思います。 ...
【ボイラー】エコノマイザとは何か。空気予熱器との違い、メリット計算方法は?
ボイラーの効率を上げるために排ガスの熱を利用することは非常に重要です。 今回はボイラー効率に影響を与えるエコノマイザとは何かについて解説していきたいと思います。 エコノマイザとは? エコノマイザは節炭器とも呼ばれ、ボイラーの排ガスと給水を熱交換させる熱交換器です。ボイラー給水の温度を上げることで燃料代を削減することができます。 節炭器と言われる理由は、以前石炭炊きのボイラーが一般的だったことから来ています。 最新の小型貫流ボイラーの場合は、標準で設置されていることも多く、大型の水管ボイラーの場合は排ガス量 ...
【安全弁】安全弁の選定方法について
圧力を持つ流体を使用する機器には、安全を確保するために安全弁の設置は必須です。 安全弁は非常時に作業者や設備の安全を確保する非常に重要な機器ですが、選定方法がよく分からないという方も多いのではないでしょうか? 今回は、安全弁の選定方法について書きたいと思います。 安全弁の選定方法 安全弁を選定するには次のようなステップが必要です。 型式を決める。 設定圧力を決める。 呼び径を決める。 1つずつ見ていきます。 型式を決める まず、安全弁メーカーのカタログを見ながら対象の流体の種類、温度、安全弁の材質、接続規 ...
【温度センサー】サーモウェルは必要?保護管が必要な条件とは?
配管などに温度計を設置する際、ほとんどの場合で保護管が必要です。 この記事では、温度計に保護管の設置が必要になる条件についてまとめてみたいと思います。 ※ こちらの記事は動画でも解説しています。 保護管(サーモウェル)とは? 保護管とは、温度センサーや温度計、サーミスタなどの感温部を圧力、腐食、流速による損傷から保護するものです。溶接チューブから成るものを保護管、金属棒材を加工したものをサーモウェルと呼びます。 保護管を使用することで、センサーの長寿命化やプロセスを中断することなく交換が出来るので、不純物 ...
【制御盤】リレーシーケンスとPLCの違い、使い分けは?
制御盤を使って工場の設備を運転する場合の制御方式として、大きく分けてリレーシーケンスとPLC制御があります。 最近では制御機構も複雑化してきたことからPLCが使用される場合が多いですが、場合によってはリレーシーケンスの方がコストが安く抑えられる場合もあります。 今回は、リレーシーケンスとPLC制御の使い分けについてメリットデメリットをまとめてみたいと思います。 こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらもどうぞ。 リレーシーケンスとは リレーシーケンスは電磁リレーや調節計を複数 ...
【制御弁】イコールパーセント特性とリニア特性の使い分けは?
制御弁には、バルブの固有特性としてイコールパーセント特性とリニア特性、クイックオープン特性があります。 一般的には、イコールパーセント特性が使用されることが多いですが、流量特性のグラフを見るとリニアの方が分かりやすくていいように見えます。では、なぜイコールパーセント特性が使用されるのでしょうか? 今回は、イコールパーセント特性とリニア特性の違いや使い分けについて解説したいと思います。 イコールパーセント特性とリニア特性とは? 制御弁では、開度が100%になったときに流せる流量をCv値という値で表します。 ...
【熱交換器】相当放熱面積とは?計算方法や使い方について
空調機や給水ポンプ、真空ポンプなどの能力を表す指標として相当放熱面積というものがあります。 この記事では、相当放熱面積とは何か、どのように計算するのかについて書いていきたいと思います。 相当放熱面積とは? 相当放熱面積は等価放熱面積とも呼ばれ、空調機や放熱器の能力を表す指標です。英語ではEquivalent Direct Radiationとも呼ばれ略称のEDRで表されることもあります。 相当放熱面積の定義は次のようになっています。 EDR(相当放熱面積)とは直接暖房設備の容量表示法の一種で、室温18.5 ...
【ボイラー】バイオマス発電って何?メリット、デメリットや発電効率は?
間伐材や資源ごみなどのバイオマス燃料を使用して発電を行うことをバイオマス発電と言います。 この記事では、バイオマス発電とは何か?バイオマス発電のメリットデメリットについて解説しています。 バイオマス発電とは? バイオマス発電はバイオマス燃料を使用して発電を行う事を言います。「バイオマス」とは、動植物などの生物からつくり出されるエネルギー資源のうち、石油などの化石燃料を除いたものの総称です。 木材チップを利用した木質バイオマス発電が一般的ですが、木材以外にも廃棄物を発酵させて出るバイオガスや資源ごみを燃料と ...
【ボイラー】バイオマスボイラとは?どんな燃料で蒸気を発生させるの?
バイオマス燃料を燃焼させて、蒸気を発生させる機器を「バイオマスボイラ」といいます。 近年、化石燃料の利用による二酸化炭素の排出を抑えるため木材や廃棄物を使用したバイオマス発電所が注目を集めていますが、発電を行うためにはバイオマスボイラは必須です。 この記事では、バイオマスボイラとは何か?について詳しく解説していきたいと思います。 バイオマスボイラとは? バイオマスボイラとは、木材、廃棄物、汚泥などのバイオマス燃料を使用して蒸気や温水を発生させるボイラです。 従来の石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料方式と比 ...
【ポンプ】メカニカルシールとグランドパッキンの違いは?
ポンプのシール方式を選ぶとき、メカニカルシールとグランドパッキンのどちらにすればいいのかわからない時ってありますよね。 今回はメカニカルシールとグランドパッキンの違いについて解説してみたいと思います。 こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらもどうぞ。 メカニカルシールとグランドパッキンの違いは? メカニカルシールとグランドパッキンは両方、内部の加圧水が外部に漏れるのを防ぐために使用します。両者とも回転する主軸がケーシングを貫通する箇所に取り付けられます。 次の動画がポンプの ...
【バルブ】バルブに保温は必要?年間放熱ロス金額と保温カバーの投資採算性について
高温流体を送る配管には、火傷防止、省エネの観点で保温は必須です。保温をするかしないかで年間数百万円もコストに差が出てきてしまいます。 では、バルブの放熱はどの程度あるのでしょうか? 今回はバルブの放熱量や保温した場合のメリットについて記事を書いてみたいと思います。 1. バルブを保温しなかった場合の放熱ロス金額 今回は50Aのグローブバルブ、100Aのグローブバルブについて次の条件で計算を実施しました。 高温流体:200℃ 外気温度:20℃ h1:10000W/㎡K λ1:84W/mK L1:10mm λ ...
【配管】保温の厚みと放熱の関係、最適な保温の厚みは何mm!?
高温の流体を扱う場合、火傷防止や放熱ロスを削減するため保温は必須です。 しかし、いざ保温について検討しようと思うと何mm程度の厚みがあればいいのか?今、ついている保温の厚みは最適なのか?が分からないという方もいると思います。 そこで今回は保温の厚みと放熱ロスの関係、そこから分かる最適な保温の厚みについて検証した結果を書いていきたいと思います。 最適な保温の厚みはどれくらい? 今回は次の3パターンで計算を行いました。放熱ロスの計算方法についてはこちらの記事を参照にしてください。 高温流体200℃、外気温20 ...
【ボイラー】スケールとスラッジの違いとは?
ボイラーなどの機器効率を低下させる要因としてスケールやスラッジがあります。 今回はスケールとスラッジの違いについて書いていきたいと思います。 こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらもどうぞ。 1. スケールとは スケールは 水中に含まれるカルシウムやマグネシウムなどの鉱物が化合物となって機器の側面等に析出したものを言います。 スケールが発生すると、次のような問題がおきます。 伝熱効率が低下する。 バルブなどが固着する。 過加熱となり伝熱面に穴が開く。 スケールは鉄錆とは異な ...
【ボイラー】小型貫流ボイラーの5つのメリットとは?
最近では、多くの工場で保有水量の多い炉筒煙管ではなく、小型貫流ボイラーが採用されています。 その理由は小型貫流ボイラーには多くのメリットがあるからです。今回は小型貫流ボイラーの5つのメリットについて解説していきたいと思います。 こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらもどうぞ。 1. 小型貫流ボイラーとは? 小型貫流ボイラーは水管ボイラーの一種で、管の一方から水を送り込み、もう一方から蒸気を取り出す構造になっているものです。 大体、0.5~2.5t/h程度の蒸気を発生させるも ...
【ボイラー】ボイラーの制御で重要な3つのポイントとは?
ボイラーを運転させるうえで装置を安全に稼働させることは非常に重要です。 今回はボイラーの制御について書いていきたいと思います。 ボイラーの制御で重要なことは? ボイラーの制御を行う場合、大きく分けて次の3点を注意する必要があります。 ボイラーの水位 燃料の燃焼状態 安全装置 それぞれについて見ていきましょう。 ボイラーの水位 ボイラー水位は、少なすぎると過熱になり燃焼管にダメージを与え、多すぎると蒸気と一緒に水分が運ばれるキャリーオーバーが発生します。 前者ではボイラーそのものの安全性を低下させ、後者では ...
【圧力計】サイフォン管は何のためについている?
蒸気などの高温の流体の圧力を測定する場合、圧力計や圧力センサーにはサイフォン管が必須です。 今回は、サイフォン管の役割や原理について記事を書きたいと思います。 1. サイフォン管の役割 サイフォン管の役割は蒸気など高温流体の圧力を計測する際に、センサーや圧力計に耐温以上の熱がかからないようにすることです。 圧力センサーは一般的に何度を超えると故障するという温度があり、その温度は100℃以下の場合が多いです。そのため、蒸気配管にそのままセンサーを設置するとセンサーが故障してしまいます。 サイフォン管を用いた ...
【ボイラー】ボイラー水の水処理とは?しないとどうなる?
ボイラーは水を加熱して蒸気を発生させる機器ですが、何も水処理をしていない工業用水をそのまま加熱すると機器やプラントの寿命を著しく縮めてしまう危険性があります。 今回は、ボイラー水の水処理とは何かについて解説してみたいと思います。 1. ボイラーの水処理とは? ボイラーの水処理には大きく分けて次の3種類があります。 1-1. 軟水化 まず、最も一般的に利用されているのが軟水装置による軟水化です。 工業用水の中には、カルシウムやマグネシウムなどの鉱物イオンが微量に含まれています。 これをそのままボイラーの中に ...
【冷凍機】チラーとブラインの違いとは?
熱交換器で冷却したいとき「近くにチラー水があるから利用できる」とか「ブラインは製品に混じると大変なのでやめましょう」とか言われることってありませんか? チラーとかブラインとか、専門用語を使われると何がちうのか分からなくなりますよね。今回は、チラーとブラインの違いについて調べたのでまとめてみたいと思います。 こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらもどうぞ。 1. チラーとブラインの違いとは? チラーとブラインの違いは チラーは冷凍ユニットの総称 ブラインはユニットで使う熱媒の ...
【配管】異種金属接触腐食とは?
鉄配管にステンレスの機器を接続すると錆びるというのを聞いたことはないでしょうか? 最近では錆び対策として、ステンレスの機器が増えていますが、配管自体は鉄のことが多く、異種金属の接続による錆びを気にすることも多いです。 例えば、ステンレスの板に鉄のボルトを接続するとボルトがすぐにボロボロになったり、ステンレスのシンクに濡れた鉄くぎを置いておくと、鉄くぎが錆びるなどといった現象が代表的です。 今回は、ステンレスと鉄を接続するとなぜ錆びるのか?について解説してみたいと思います。 こちらの記事は動画でも解説してい ...
【配管】錆は磁石にくっつくのか?錆と磁性の意外な事実
配管から出てくる汚れを鉄錆かどうか見分けるために磁石につくか調べたらわかるかも?と思っていませんか? でも本当にそれが鉄錆だった場合、磁石につくでしょうか?今回は、鉄錆と磁石について記事を書いてみたいと思います。 こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらもどうぞ。 1. 鉄錆は磁石にくっつくのか? 結論ですが、一般的に配管の鉄錆と言われる赤錆(Fe2O3)は磁石にはくっつきません。そのため、汚れが錆かどうかを判断するのに磁石は適しているとは言えません。 正確には、常磁性体と呼 ...
【圧力容器】真空になる機器は圧力容器になる?ならない?
内圧が大気圧以上になる容器には、体積や圧力によって規制内容が変わる「圧力容器」という規定があります。 では、機器の内圧が大気圧以下の真空になる場合はどうなるのでしょうか? 今回は、圧力容器と真空の関係について解説してみたいと思います。 こちらの記事は動画でも解説しているので、動画の方がいいという方はこちらもどうぞ。 1. 真空になる機器は圧力容器になる? まず、結論ですが真空になる機器は圧力容器にはなりません。但しその機器が真空に耐えられるだけの構造になっているかは確認が必要です。 また、真空でも大気圧以 ...
【ポンプ】ミニマムフローはなぜ必要?無いとどうなる?
ポンプをワンパスで使用する場合には、締め切り運転にならないようにミニマムフロー配管を設けてやる場合があります。 ミニマムフロー配管は配管図面だけを見ていると、ついつい忘れがちですがミニマムフロー配管がないと、一時的にポンプが締め切り運転になりポンプの寿命を縮めてしまいます。 今回は、ポンプのミニマムフローの必要性について解説してみたいと思います。 1. ミニマムフローとは? ミニマムフローとは、ポンプの過熱、騒音、振動などを生じることなく連続運転できる最小の吐出し量のことです。 また、ミニマムフローを維持 ...
【配管】流速が速いと何が問題?配管設計で流速が重要な理由
水、ガス、蒸気などの配管を設計する際には、配管内の流体の流速が重要です。 流速が遅い分には問題ありませんが、速すぎると様々な問題を引き起こします。 今回は、配管内の流速が速いとどんな問題が起きるのかについて詳しく解説してみたいと思います。 1. 流速が速いと何が問題? 配管内の流速が速いと次のような問題が発生します。 1-1. 圧力損失が大きくなる まず、圧力損失が大きくなり、使用先で欲しい圧力が得られなくなる可能性があります。 圧力損失は、 配管壁面と流体との摩擦によって発生し、 流速の二乗に比例して増 ...